第3話売れっ子女優香椎リナ

学校に着く、いつも通りの教室。


僕に特に仲のいい友達はいない、上辺だけの付き合い、とりあえず固まる

オタ友。


ちなみに僕というのは、矯正できない左利きの様なものだ、物心ついた時から小説の読み過ぎで一人称が僕となってしまった。


余りに流暢に僕と言うので、みんな最初は驚くが、なんだか自然にそんな人なんだなぁとなる、僕もチロルとは馬鹿なやり取りをしたが、公共の場でふざける程わきまえない人間では無い。


陰キャ女子共と適当に固まる。


「......ミオリ、声漏れてるよ」


「.......あぁ、わざと、分かるでしょ?僕の気持ち」


話し相手になれ、チロルという事だ。


「うーん、ミオリの事を見てると、案外趣味もコアで没頭しやすく、自閉的だからねー、1人で居たいがぼっちも人の目が厳しいか、まぁそんな感情、思春期なら当たり前、なによりミオリはIQが高いからね、政府が測定したらIQ143だってさ、なんでこんな高校に入ったのかなぁ?、それぐらいの知能指数持ってたら、何か没頭できる物あれば超高校生級の天才児扱いなのにね、どう考えてもこのクラスじゃ浮くでしょ」


勉強はやればできるが好んでしたいと思わない、小説を書こうも今の時代の純文学を見て、僕は好きなもの書いては食っていけないなと思ったし。


ぼんやり気楽に行きたいからまぁ国立はそれなりに勉強してればいけるでしょうとの事でこの高校を選んだ、世間一般的にはそれでも難しい高校だけども。


「......僕は、まぁちょっと見下し気味な所あるけど......そんなに頭良かったんだ」


「オタ友のギャグ笑える?」


何度もアニメのキャラになりきって、何かしらのコントに興じる陰の者、こいつらでも彼氏が居るという事に泣きたくなる。


「......無理してるかな」


「なるほど、ちょっとシャーペンになって、僕の事、授業のスキ見て外に行って、適当な場所に置いてくれる?」


「?」


何故そんな事を?チロルがやれというならやるが、話し相手が居なくなるのはなかなかにきつい、まぁ言われた通りに購買に行くついでに窓から外に落とした。


そして放課後になった、チロルにしろと言われた事をして、シャーペンを取りにいくも無い、......いくら探しても仕方ない、帰えればチロルが猫の姿で家で昼寝でもしているかもしれない......帰ろう、思えばあいつも疲れただろう。


「ミオリ!!」


!?、校門の前に僕とは正反対のふわりとしたボブ姿の陽キャっぽい可愛い子、メイクもばしっと決まってる!!、それにあの制服は都内の有名な芸能高校の、何故かそんな子に名前呼ばれてるぞ!!、人違いか?、無視しよう......。

めっちゃ人の目についてるよ......。


「おいミオリって!!、撮影で近くに来たからさ、寄ったんだ」


ミオリの所まで、美少女は寄ってきた。


おいあれ香椎リナじゃね......?

あのミオリって事友達なのか?

あのミオリって子も地味だけど、可愛いな......

え、隠れてアイドルとかやってるの?


周囲がざわつく......ん?


香椎リナ!?流石の僕でも知っている、有名な雑誌の専属モデルで、朝ドラで准レギュラーとかやってる、人気沸騰中のアイドルも女優もこなすマルチタレント!!

香椎リナは僕の所に来て、腕を掴んで、話しを合わせてとささやく。


「あ、あーリナ近くまで来てくれたんだありがとう」


ミオリは声にならない声を出す、リナに腕を捕まれ

二人でベンツの最高クラスに乗り込む......どういう事?


「ごめんミオリさん!!、チロルのお願いで......迷惑だった?」


「......え、え、チロルが?どういう事?」


「うん?、次のコスチュームの適正者は私、ミオリとチロルのやり取り聞いたよ?、私もちょっと魔法少女なんてなれなくてさー、特撮とか好きなんだ?」


チロルがひょこっと顔を覗かせる


「いや、なんか僕居候させて貰ってるし、勝手にお金のこととか、コスチュームの強制とかさせちゃったあらお礼に友達を紹介するよ、香椎リナ、本名だね彼女もめちゃくちゃ知能指数高いし、話し聞くとミオリと趣味結構被るんだ」


「私もね、結構こう見えて三島とか読むよ?、チロルから本棚の内容聞いてるよ

私もお気に入りは源氏物語と紅楼夢、最近のってかそれでも古いけど三島とかでしょ?私も好きだよ三島、これから政府の施設に行くの、カフェとかあるからお茶しましょう?

あー私こんなキャラだけど、実は超根暗で内気でオタク気質なのよね、がっつりオタクトーク楽しみましょう?」


お、おぉ意外だな、香椎リナ、この前のバラエティで漫画しか読まないとか言ってた癖に、あれはキャラ作りか、へぇー......超意外。


「あ、嬉しいあんま三島由紀夫とか読む人いないし、音楽とか何聞くの?」


ドキドキしながらミオリは聞く。


「がっつり洋ロック、60、70年代が特に好き」


ミオリはチロルの方を見る、お前結構やるじゃん?

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