天文3年(1534年)の内政まとめ
一年があっという間に過ぎ、今年の成果について取り纏めている。
当初の目的であった府中小笠原攻めは、養父に兵の返還を求められたため、早い段階で習性を余儀無くされた。
府中小笠原家は史実通りに松尾小笠原家を滅ぼしている。しかし、府中小笠原家は松尾小笠原家を攻めた際に、当主の小笠原長棟自ら総大将として国人たちを率いていたそうなので、手薄になった守護所を攻めて、府中小笠原家を傀儡にすると言う作戦は、そもそも破綻していた様だ。
国人領主が多く、守護の力が強くない信濃国では、国人たちを率いようとすれば、守護自ら総大将にならないといけないわな。
信濃攻めは、北伊勢が落ち着かないと難しそうだ。
今年の内政は、戦が無かったため、内政に注力することが出来た。
養祖父から預かった約二千の兵を失ったのは大きかったが、労働力としては関東から奴隷が運び込まれている。
奴隷労働力を使っての街道の整備・拡張はそれなりに上手くいっており、暫定的ながらも木曽路との街道を整備し、繋げることは出来た。東天竺屋には宿を建てさせるなど、宿場も整備している。
街道の使い勝手が良くなったたからか、少しずつ利用者が増えている様だ。
街道の整備とともに、東美濃の開墾や灌漑の整備も進めている。木曽川は氾濫しやすいので領地の治水も重要だ。水害対策も僅かだが進めている。
奴隷たちには、農作業や工業の手伝いをさせているが、徐々に慣れてきたのか、技術を身に付け始めたのか、生産力が上がっている様だ。
工業では、火縄銃の生産と分業が進んだ様で、それぞれの部品を作る職人を育てている様だ。
一から全部作る訳では無く、同じ部品ばかり作らせているので、職人の成長も早いらしい。
また、高砂国のオスマン帝国の技術者の元へ各種職人や技術者を派遣し、技術を教えてもらっているので、数年後にはオスマン帝国の技術を身に付けた職人を日本に戻したいところだ。
特にガラス加工の職人を早く育てないといけないな。科学技術を向上させるため、ガラスの器具が必要だからな。
日本の特産物や工芸品の職人の育成も進んでおり、生産量も増えている様だ。
交易については、手に入れたジャンク船やキャラック船を使って、マニラ、ブルネイ、アチェに交易船団を派遣している。
マレー語が通じる地域を中心にしているが、交易船団がシャム語話者など、他の東南アジア地域の通訳を連れ帰ってきているらしいので、シャムなど他の交易都市にも交易船団を派遣したいところだ。
何れはインドに交易船団を派遣することを考えないといけないな。
因みに、最近は倭寇やポルトガル船を狩り過ぎたのか、奴らは警戒している様で、あまり船を出していないか明の沿岸を航行してきるらしい。
船の数も大分増え、自分たちで建造できる様になったので、船や交易品を奪えなくなったのは残念だが、支障は無さそうだ。
蝦夷地においても小樽・石狩交易所を建て、冬越えをさせているので、上手くいったら開拓したいと思っている。
まず優先させるのは、現地の蝦夷を味方につけるため、公正な交易をすることだな。
軍事については、一年の間に主力を少しずつ志摩国に移した。
実淳派長島一向一揆に対処する可能性があるので、伊勢湾に兵力を集中させているのだ。
平井宮内卿には、志摩国で新兵の教育や雑兵の訓練を管理してもらい、戦力を増やしている。
美濃国の軍は山本菅助が戦力向上を図っていた。
外交では、各地に馬路宮内を使者として派遣し、公家や大名と交流を図りつつ、情報収集をさせている。
馬路玄蕃には、高砂国に戻り、オスマン帝国の官僚たちの相手をしてもらっていた。
数年後には、またオスマン帝国へ向かってもらう必要があるので、官僚のリュステムたちと交流を深めてもらう必要がある。
諜報関連では、北伊勢に忍衆を多く派遣しており、信濃国、畿内、関東の情勢も欠かさずに情報収集させていた。ここ最近は、各地の情勢が不安定だからな。
高砂国については、国奉行の山田式部少輔がオスマン帝国人たちの対応で苦労しているそうだ。
そんな中、高砂国東部の部族を攻めて平定したらしい。大人しく争いを好まない性質や位置的なことから、阿美(アミ)族だろう。彼等は自身をパンツァハと名乗っているそうだ。
取り敢えず、南蛮交易の補給拠点が出来たのは喜ばしいと言えるだろう。
今年は内政に力を注ぐことが出来たが、来年は戦をせざるを得なくなりそうだ。
長島一向一揆勢から北伊勢を取り戻せていない上に、西美濃が荒れている。土岐頼芸方で北伊勢に兵を出せそうなのは、わししかいないだろう。
養父の長井新九郎からも、そう言うことを臭わせた書状が届いている。
もし、北伊勢攻めをさせられるなら、伊勢国切取次第を給らなければ割りに合わないだろうな。
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