子供たちの成長と新料理開発

 夏になっても、当家は戦に巻き込まれることもなく、政務を執ったり、料理をしたり、動物の世話をしたりして日々は過ぎていく。たまに、祖父から教養の指導を受けたりもしている。


 新たに産まれた峰丸も問題なく育っており、子供たちは元気いっぱいであった。

 多幸丸や虎千代は、それぞれの傅役によって手習いをしている。しかし、虎千代の傅役である山本菅助は忙しいことも多く、大島甚六が手習いを教えていることもあった。大島甚六は新兵を教育していた時に、読み書き出来ない兵に手習い程度を教えていたのだ。

 また、多幸丸や虎千代には、身体の成長を促すため、運動の時間を取らせている。二人とも同い年なので、共に鍛練する相手として丁度良い様だ。これは主に大島甚六が担当しており、外遊びなどもさせている。

 多幸丸は身体は大きく、身体能力もそれなりに高い様で、虎千代は平均的な体格なものの、身体能力はとても高いらしい。

 二人とももう少し大きくなったら、上泉伊勢守に武芸の稽古をしてもらうのも良いかもしれない。



 夏になるまでに、様々な料理を作り、当家の料理人たちに伝授していた。そのため、当家の食生活はより豊かになっている。

 鶏の唐揚げ、焼き玉蜀黍、中華風コーンスープ、トルティーヤなどや醤油や新たな野菜を使った様々な料理を作った。鶏の唐揚げは、わしが食べたかった料理だ。焼き玉蜀黍、中華風コーンスープやトルティーヤは、料理人たちが玉蜀黍の調理法を上手く思い付かなかったため、家畜の飼料になってしまっていたので、わしが参考に作ってみせたのだ。

 領民たちには、玉蜀黍は米とともに炊く調理法を普及していた。玉蜀黍の芯も栄養価が高いので、一緒に炊くのことを推奨している。

 玉蜀黍の芯を乾燥させ、粉挽きしたものをコーンポタージュにしたりもしたが、なかなか美味かった。

 玉蜀黍の芯は栄養価が高いので、乾燥させた物は家畜の飼料にもしている。家畜たちも好んで食べているのだ。


 料理人たちは饂飩や蕎麦の作り方も上達しており、饂飩、二八蕎麦、六四蕎麦は上手く作れる様になっていた。十割蕎麦も以前よりは上達していっている。

 栽培する野菜も増えたため、鶏ガラスープを作り、ラーメンを作ることにした。

 志摩国から藻塩を作る際に出来た鹹水を取り寄せ、中華麺を作る。テレビやネットの知識なので、上手く作れない。中華麺作り難しすぎるだろ。

 一応、麺らしい形になり、鶏ガラスープはそれなりのものが出来た。付け合わせに野菜と茹で卵、焼き鶏を添える。

 いざ、食べてみると麺はともかくとして、昔ながらの中華そばな感じがして、とても懐かしい気分になった。

 家族や屋敷の者たちにも、麺はともかくとして中々良い評価を貰ったので、料理人たちには麺作りの練度向上を目指してもらおう。


 春から夏にかけて、料理を頑張ったが、単純に茹でた空豆や枝豆、玉蜀黍など素朴な食べ物も美味いと思う。品種改良してもっと美味しくする必要はあるけどな。

 今年も西瓜が実り、個人的にはイマイチなのだが、家族や家臣たちには評判が良い。祖父の近衛尚通も甘いと喜んで食べていた。

 異国から取り寄せた作物も美濃で僅からながらも栽培している。そのため、新鮮で珍しい野菜を食べることが出来ていた。


 志摩国で栽培しているオリーブが収穫出来るようになれば、座に干渉されずに新鮮な油が手に入るので、油を使った料理をもっと作れる様になるのにな。

 オリーブで石鹸も作って販売出来る様にしたい。

 異国から取り寄せた作物の苗や種は、戦国時代では可能性に満ち溢れていると言えるだろう。



 子供たちは順調に成長しており、多幸丸や虎千代には身体を動かす機会を増やして、何れは武芸の稽古や軍事訓練に参加させる必要があるだろう。


 政務の合間に、新しい料理を作ったり、料理人たちに伝授させているので、料理人をたちも料理の幅が広がっている。家族たちも舌が肥え始めており、あれが食べたいと要望する始末だ。

 家臣や領内にも新しい料理を普及させたいが、調味料や食材に限りがあるので、中々難しい。

 独立大名になれれば、もっと自由に出来るのだろうなと思わず考えてしまうのだった。 

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