志摩統治と徐々に産業改革
平井宮内卿が志摩を完全制圧するには、一ヵ月程度掛かった。
水軍衆は美濃へと送られ、教育を施されることとなる。水軍衆の家族は、鳥羽湊へ移送され、鳥羽で生活することとなった。
占領した城や要所には、雑賀衆の傭兵を配置している。
多少の狼藉はあったが、乱妨取りを禁止したため、志摩国の住民への被害は少なかったと言える。
志摩の完全制圧により、弾正忠家は尾張へと帰還した。
志摩海域が安定したので、再び琉球との交易をしたい。
雑賀衆の湊衆に、琉球との交易を再開したい旨を伝えてくれるよう頼むと、喜んで雑賀へと戻っていった。
いよいよ、志摩国の統治が本格化する。
志摩では穀物が少ししか取れないので、美濃や尾張の穀物を配給することとした。
産業に関しては、手っ取り早く金になりそうなのは、海産物なので、海産物から着手する。
志摩各地の漁師と海女に海産物を取るよう指示をするとともに、各地に干物工場を作る。取り敢えずは、今まで通りに作業させ、
彼らのやり方を観察するとともに、改善事項を探すこととした。非効率的な作業は、効率的にしなければならない。
そして、海苔の養殖にも取り組むことにする。
鳥羽や英虞湾内の浅瀬に「粗朶」と呼ばれる枝付きの木や笹付きの竹などを立て、ひびを作らせる。その後、ひびに付いた海苔を集めさせるのだ。
本当は網ひびで養殖をしたいが、網を揃えることが出来ないので、粗朶を使うこととする。何れは、網ひびに移行したい。
以前から、美濃で紙作りをしたいと考えていたので、紙漉き職人の借金を肩代わりして、職人を確保していた。
まだ紙を作ることは出来ないので、紙漉き職人は志摩に派遣して板海苔作りをさせることとしよう。
農業は、宇治から連れてきた茶農家に茶農場の適地を選定させ、茶ノ木を植えさせた。
茶栽培が上手くいくまでは、まだまだ時間がかかりそうである。早く、蜜柑やサトウキビも育てたい。
平井宮内卿には、干物工場と板海苔工場を作るよう指示をするとともに、問題が発生した場合は、対処と報告をするよう伝えておいた。
平井宮内卿は、雑賀衆などの傭兵の管理だけでなく、志摩国の政も臨時的に管理してもらうことになるので、忙しいだろう。
志摩国の完全制圧を完了した旨を、伊勢神宮に報告すると、白川雅業殿がいらっしゃり、祝いの言葉を贈られた。
伊勢神宮は献納の品や銭が欲しいらしいので、早めに送ってくれと頼まれた。なるべく早く、献納することとしよう。
そして、白川殿からは、志摩国が攻め落とされたことで、北畠家中が騒ぎになっていることを伝えられたので、注意しておくよう忠告をうけたのであった。伊勢神宮は献納がある限りは味方になってくれるそうだ。
しかし、北畠と揉めそうな気がするな。用意しておいた保険が役に立つと良いのだが。
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