第2話 ぼうけんの始まり

泣き出しそうになるのをぎゅっとこらえてちかちゃんは歩きました。

「ちかちゃん、もうお姉さんだもん。泣かないもん。」

一生懸命顔を上げて通り行く人々の顔を見上げました。

それでもなかなかお母さんとお父さんは、見つかりません。

首が痛くなってきました。でも、下を見ると涙がこぼれ落ちそうになりました。

「そうだ!」

ちかちゃんは、リュックサックの中からおばあちゃんがくれた耳のついたネコちゃんの形の色つきメガネを取り出すと涙を隠すように かけました。

すると、どこからか声が聞こえてきました。

「りんごもっと食べたかったなぁ」

「このつり橋スゴく楽しいよ!一緒に遊ぼうよ!」

ちかちゃんは、声のする方に行ってみました。

そこは、一番始めに見たレッサーパンダさんのお部屋。声は、レッサーパンダさんたちの話し声でした。

「……お話できるの?」

ちかちゃんは、恐る恐るレッサーパンダさんたちに話しかけました。

すると、レッサーパンダさんたちは上手に立ち上がり真っ黒なお腹を見せながらちかちゃんに言いました。

「こんにちは。」

確かにレッサーパンダさんたちとお話が出来ます!

「こ、こんにちはっ。…………ちかちゃんのお母さんとお父さん知らない?」

レッサーパンダさんたちは、困りました。

「この子、迷子になっちゃったみたいだね。」

「僕たち遊んでいたから全然わからないや。」

「わからなくてごめんね。」

どうぶつさんとお話が出来る事を喜ぶ気持ちが吹っ飛とんでしまうくらいちかちゃんは、悲しくなりました。

悲しそうなちかちゃんを見てレッサーパンダさんもオロオロとその場を歩き回りました。

「そーだ!ミーアキャットさんたちなら大家族だから誰か一人くらいは、お母さんとお父さんを見ているかも知れないよ!」

「ミーアキャットさんたちに聞いてみたらどうかな?ここからまっすぐ行った所だよ!」

「ありがとう!レッサーパンダさん!ちかちゃんミーアキャットさんたちに聞いてみるね!」

優しいレッサーパンダさんたちにお礼を言ってちかちゃんは、歩きだしました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る