クエスト07:洗脳住民包囲網から脱出しろ


 こんな不正じみた一方的な多数決で、俺を悪と断じ殺そうというなら、こっちは徹底的に抵抗するだけだ。


 とはいえ、まさか洗脳された聖都住民を皆殺しにするわけにもいかない。

 俺はフラムと一緒に屋根の上に跳び、屋根伝いに逃走を開始した。

 これなら住民たちは追って来れない。聖騎士だけに注意を払える。


「それにしても、このスキルは一体なんなんだ? 《白魔導士》が使う小規模結界魔法に似てるようだが……」

「口で説明するより、ステータスプレートを確認すれば一発じゃない?」


 あ、その手があったか。俺としたことが、ステータスプレートの存在を失念していた。

 確かにこいつなら、スキルの変化や獲得についても記録が残っているはず。


 飛んでくる聖騎士たちの攻撃も全く通じない様子なので、俺は余裕を持ってステータスプレートを確認して……度肝を抜かれた。

 まず真っ先に目についた、おそらく全ての原因がこいつだ。



〔【真なる闇の力】

【解説】:闇黒に秘められし真の力を開放する異能。

 試練を踏破し、自らの弱さを受け入れ、強き意志で心の闇を支配した者が獲得。

【闇の力】による呪縛を全て解除し、全能力に恩恵を付与。

【闇の力】で獲得した全異能を上位異能に進化。

 以下、【真なる闇の力】固有の新たな異能を獲得……〕



 影身との戦いの最中で獲得したと思われる、このスキル。

 こいつによって呪縛がなくなったばかりでなく、既存のスキルが全て上位互換に強化された上、さらに新しいスキルまでいくつも獲得していた。


 俺を守る闇の結界もその一つで、【ダークオーラ】というスキルらしい。

 通常の結界魔法には効果時間の制限があるが、こいつにはそれがない。俺の魔力が続く限り維持できるし、俺の任意で形状変化や範囲拡大まで可能なようだ。


「つーか、しれっとフラムも同じスキル使ってるんだな」

「あら? 私のはただの炎を操るスキルよ。あんたの【ダークオーラ】を真似て、防御に使ってるだけ」


 だけって、それ相当な高等技術だぞ。つまりそう作用するように定められた異能ではなく、純粋な技術で異能を応用しているということだ。


 それにこの黒い炎……アーツによる単発的な攻撃や、属性付与とも違う。【火炎操作】のような、【闇の力】をもっと直接的に操る異能だ。俺も同種と思しきスキルを獲得しているが、同じ《闇》でも俺とフラムでは随分とその毛色が違う。


 俺の《闇》が漆黒に輝く雷だとすれば、漆黒に燃える炎がフラムの《闇》。

 俺以外に熟達した闇の力を見るのは初めてだが、使い手によってこうも闇の在り方が違ってくるものなのか。


 しかしフラムは《暗黒騎士》には到底見えない。暗黒騎士以外に闇の力を操る職業が?

 つくづく、この女には謎が多い。

 なんて考察する余裕まであったが、実際のところ状況は芳しくなかった。


「どこに逃げようというんだ! 貴様は既に光の教えを脅かす背教者、罪深き異端として教団に指名手配されている! 貴様を庇い立てし、闇の力に手を染めたそこの女も異端だ! どこにも逃げ場なんてない、世界の果てまで追い詰めてやるぞ! その穢れた魂に相応しい、惨たらしい死を以て罪を清めるがいい!」


 中隊長の勝ち誇るような宣告は、予想し得る中で最悪の展開だった。

 これは誰かを倒して「めでたしめでたし」と解決する問題ではない。


 聖剣教団が黒だと言えば白でも黒くなる、それだけの発言力が教団にはある。

 少なくとも聖都中の住民を洗脳なんて大がかりな真似をしている以上、俺を排除するのは教団の総意と思うべきだ。


 仮に洗脳を解いたところで、住民は教団に言われるがまま俺に石を投げるだろう。教団の教えもあり、暗黒騎士の俺は元々住民から嫌われていた。教団が適当な罪状をでっち上げてしまえば、住民はいちいち疑いもするまい。


 騎士としてこの状況に思うところはあるが、はみだし者なのは元からだ。そこまで応えちゃいない。ただ……あいつらまで俺を追い立ててくるとしたら、かなり応えるな。


 そんなことを考えたせいか、屋根から屋根へ走り回るうちに、気づけばガリウスの鍛冶屋の近くにまで俺たちは来ていた。

 そして、聞こえてくるのは言い争う声。


「あーもう! てめえら、いい加減にしやがれ! なにをとち狂っていやがる!」

「狂っているのは貴様だ」「なぜ光の啓示に従わない」「なぜ聖なる光に逆らう」

「穢れた闇の騎士に肩を持つ異端め」「異端には光の裁きを。聖なる粛清を」

「さっきからなにわけのわからねえことをブツブツと……それに穢れた闇の騎士って、まさかタスクのことを言ってやがるのか!? クソッ、あいつは無事なのかよ!」


 叫ぶガリウスの目に、光の紋様はない。洗脳を受けず、正気なのだ。


 ガリウスは洗脳された住民に取り囲まれていた。なにやら大きな荷物袋を担ぎ、空いたもう一方の手には、身の丈ほどもある鉄の戦鎚が。

 しかし、そいつで住民を蹴散らすわけにもいかない。ガリウスが躊躇している間にも包囲が狭まっていき、今にも袋叩きが始まりそうだった。


「捕まれ、ガリウス! 【カースバインド・チェーン】!」


 俺は咄嗟にアーツを発動し、手から黒い鎖を放つ。

 昨日、ミノタウロスの体勢を崩すのにも利用した【闇属性魔法】のアーツ【チェーン・バインド】が上位に強化されたモノだ。

 本来は敵を拘束するための技だが、俺はこの鎖でガリウスを引っ張り上げる。


 ガリウスは俺の登場に驚きつつも鎖の意図を察してくれた。腕に絡みついた鎖に抵抗することなく、しがみつく。……やってから言うのもなんだが、俺の腕力でガリウスの体重を引き上げられるのか?


 結論から言えば全くの杞憂で、なんなくガリウスを屋根まで運ぶことができた。

 腕力というか、鎖自体に筋肉でもあるかのように力が通っている感じだな。これは拘束だけじゃなく、直接的な攻撃手段としても有効そうだ。


「オオオオォォォォ!? なんだ、今のアーツ!? 俺を軽々引き上げるとか、呪縛はどうしたんだよ!? それにこの状況は一体なんなんだ!? どいつもこいつも目つきがおかしくなって、なにがどうなってやがる!? あとそこの美人さんはどちら様!? 俺に紹介もなしとは隅に置けねえな、オイ!」

「せめて質問は一つずつにしてくれ! 俺だってこいつのことから急展開続きで、なにがなにやらサッパリだよ! 一つ確かなことは、逃げるが勝ちってことだ!」


 逃走を再開した俺とフラムに、若干体重で屋根を踏み抜きそうになりながらガリウスが続く。聖騎士の攻撃がガリウスまで標的にするが、ガリウスはこちらが庇うまでもなく、ハンマーで光の十字架や投擲槍を叩き落とした。


「それにしてもガリウス、なんでお前は洗脳されてないんだ?」

「俺に訊かれてもな! 聞き慣れない鐘の音がしたかと思えば、周りの連中が突然操り人形みたいになりやがったんだ! ってかやっぱり洗脳されてんのかアレ!? しかも状況からして、聖騎士の仕業かよ!? 全く、いつもご高説垂れてる正義はどこ行きやがった!」

「そのリザードマンが無事だった理由、たぶんタスクと親しかったからよ」

「はあ? フラム、それはどういうこと……いや待て、だとしたらっ」


 フラムの唐突な言葉に、脳裏によぎった顔が二つ。

 二人の安否が心配になった、そのときだ。

 ガリウスの鍛冶屋とはまた別の――冒険者ギルドの方角から、今度は爆発が巻き起こった。いや、爆発というか……風?


 地上から吹き荒れた爆風で、瓦礫やら人やらが高々と宙を舞う。そのまま落下しても死ぬほどではないが、骨は確実に折れるか砕ける高さだ。

 そしてその中で唯一、風に導かれるかのごとく上昇を続ける影が一つ。

 影は放物線を描きながらこちらに接近し……フワリ、と俺のすぐ隣に着地。


「タスク、あなたも無事でしたか」

「アスティ!? お前なんで、つーか今の風は一体!?」


 何事もなかったような、平然とした顔で話しかけてくるエルフの少女に、俺は思わず叫んでいた。これじゃガリウスのことを言えないが、見知った顔がまるで見知らぬ姿を見せたのだから、そりゃあ驚きもする。


 アスティは服装こそ食堂の制服だが、腰のベルトに細剣を帯びていた。装飾は主張が強すぎず優美でありながら、観賞用でなく明らかに実戦で使い込まれた代物だ。


 それにアスティをギルドからここまで運んできた、あの風。規模も精密な操作も、一朝一夕でできる芸当じゃない。相当なスキル性能とそれを自在に操る技術、そしてそれらを培う場数の経験が窺えた。


 ただの店員じゃないとは常々思っていたが、こいつは想像以上だ。暴力団を潰したとき、アスティは素手で敵を叩き伏せていた。まさか剣士だったとは。


「教会のものとも違う鐘の音に合わせて、ギルドの職員や冒険者が一斉に正気を失ったんです。いえ、この様子では聖都全ての住民が同じ状態でしょうか。『闇』『異端』『闇の下僕に与するか』などの発言から、あなたになにか尋常でない危険が迫っているものと考えました。私自身も襲われたのでこれを撃退し、こうして駆けつけた次第です」

「お、おう。心配してくれたみたいで、悪いな」

「いいえ。私とあなたの仲ですから」


 ところで、なんでさっきからジーッと物言いたげな視線が俺に刺さってくるんですかねえ。それも心なしか、視線は俺とフラムの間を往復しているような。

 俺、なにも責められるような理由ないよね? ね?


「オイオイ、こいつはまた別嬪さんのご登場だな!? タスク、お前こんな美人の知り合いが二人もいたのかよ! まさか二股かけてるんじゃないだろうな!?」

「人聞きの悪いことを言うな! 別に二人とも、そういう関係ってわけじゃっ」

「正確には、私を含めて四人いるのよねえ?」

「四人……?」

「ちょおおおお! なにを火に油注いでくれちゃってんだよ!? つーかフラム! 百歩譲ってニボシのことはともかく、お前なんで『あいつ』のことまで……!?」


 アスティやニボシはまだしも、なんであいつのことを把握してるんだよ! この聖都、いや聖王国であいつの存在を知っているのは俺だけのはずなのに!

 いい加減詳しく問い質したいところだが、それどころじゃなかった。

 先に、アスティが静かな圧を感じる眼差しで俺に問い質してくる。


「タスク。説明してもらえますか?」

「えっと、それはその」

「――オイラも気になるナ。あいつ、っていうのは一体どちら様なんダ?」

「うおあ!? ニボシ、お前いつの間に!?」

「ニッニッニ。こっちも経緯は同じだヨ。鐘がゴーン。周りの目がボヤー。異端だ粛清だワーギャー。で、どうもタスクが狙いみたいだから、襲ってくる連中を躱しながらの懸命な捜索の末、こうやって合流できたってわけサ」


 いつからそこにいたのやら。

 アスティとは逆側の隣で並走するニボシは、俺の驚いた顔に満足げな笑みを零す。

 が、その笑顔がアスティと同様の圧を発し始めた。


「と・こ・ろ・で。こちらのお二人さんとは初対面だし、是非とも紹介して欲しいナ。特にタスクとの関係について詳しく、サ」

「私もお二人について紹介をお願いします。四人目についても」

「私は三人とも、よーく知ってるから別に紹介はいらないわよ?」

「あの、俺の気のせいかもなんだが、皆さん視線が火花を散らしてません?」

「うおおおおい! 俺も他人様の痴話喧嘩に口出ししたくはねえけどよ! 今は状況ってモンを考えてくれよ!」


 いや、全くガリウスの言う通りで。

 今も俺たちは屋根の上を走りながら、聖都住民に追いかけ回されている真っ最中。聖騎士もどんどん数が増えていた。


 今のところ攻撃は防げているが、このままじゃジリ貧だ――ところでアスティといいニボシといい、俺がダークオーラで庇うまでもなく、雨あられと降りかかる攻撃をなんなく捌いて避けてるんだよな。

 もしかしてガリウスも含めたこいつら、俺が思ってたより三倍は凄いのでは?


「でも実際問題、これって詰んでないカ? オイラたち全員、異端認定されて聖王国が丸ごと敵に回った状態だロ? どこに逃げればいいものやらサ」

「…………俺が脅して協力させたことにすれば、皆は」

「見逃されるはずないでしょ。ああいう連中は一度疑いをかけたら、罪状を捏造してでも相手を火炙りにするまで収まらない。今更タスクと無関係を装ったところで、拷問薬物なんでもアリな自白の強要が待ってるだけよ」

「私も彼女と同意見です。住民の洗脳なんて真似をする輩に、人道的な処遇を期待するだけ無駄でしょう。一人も欠けることなく、全員でこの窮地を脱するべきです」

「そういうこった! お前さんが気に病むことなんか何一つねえ! おかしいのも悪いのもどう見たって向こうの方で、お前さんは一番の被害者なんだからよ! 変なこと考えずにどっしり構えてな!」

「『やられたら千倍にしてやり返す』『理不尽には徹底抗戦、泣き寝入りなんか絶対にしない』それがタスクのモットーだロ? 報復の手伝いなら任せときナ」

「皆……」


 確かに俺としても、あんな連中に皆の身柄を預けたくなんかない。

 しかし俺の巻き添えになったも同然なのに、ガリウスたちは恨み言一つ口にしない。

 それどころか心強い言葉ばかりくれるものだから、不覚にも泣けてくる。


 そのおかげで、俺も腹が決まった。


「――俺に一つ、逃亡先のアテがある。皆、俺を信じてくれるか?」

「もしかしてそれ例の、前に話してた『国外逃亡する羽目になった場合の頼れる伝手』ってヤツ? ニッニッニ。それなら、タスクの人脈のほどを拝見させてもらおうかナ」

「なにがどうしてそんな話題が上がったのか疑問ですが、私もタスクの案に乗りましょう。……恥ずかしながら、私から提示できる妙案もありませんし」

「全面的に任せる! どうせ俺は全くのノープランだからな!」

「他に案があるわけでもないし、私も乗るわ。それで、ここからどうやってそこへ向かうわけ? すっかり囲まれてるんだけど」


 さっきの『四人目』発言といい、俺のアテを知っている口ぶりのフラム。

 それについてはとりあえず脇に置いといて、俺は足を止めて周りを見渡す。


 ここまで洗脳された住民を避けるため、屋根伝いに逃走していた俺たちだが、そんなルートが限られた状態でいつまでも逃げられるはずがなく。

 とうとう、聖騎士たちに完全包囲されてしまっていた。どっちを向いても光り輝くアーツの矛先に目が眩む有様で、いわゆる袋のネズミというヤツだ。


 中隊長は光の翼で高みから俺たちを見下し、いつでも号令が下せるよう手を掲げた。

 その顔に浮かぶのは、まさしく袋小路に追い込んだネズミを嬲ろうとする性悪猫の笑み。


「ようやく追い詰めたぞ。この私の手を煩わせおって、このクズどもが! 全員、楽に死ねると思わないことだ。特にそこの醜いヒトモドキどもは念入りに切り刻み、腐り果てるまで晒し者にしてやろう!」

「……あ?」


 あまりの暴言に、血が一瞬で沸騰する。

 思考は逆に冷え切って、しかし煮え滾った血を抑えることなく殺意で研ぎ澄ます。

 当然だ。こいつは殺してくださいとでも言わんばかりに、俺の逆鱗に触れた。


「俺の大切なヤツらを、どうするって? 【ブチコロスゾ虫ケラ】」

「ひ、き――っ!?」


 睨みつけた途端、中隊長が白目を剥いて失神する。意識を失ったことで翼が消え、口から泡を噴きながら地面に落下した。近くの聖騎士たちも、同時に俺が発した無形の波動で木っ端のごとく吹き飛ばされる。


【威圧する波動】と【恐怖の魔眼】……【威圧】と【萎縮する眼光】の強化版を発動しただけなんだが、自分でもちょっと引く効き具合だ。思わず怒りが引っ込んでしまう。


 命令する者が脱落してしまったせいだろうか。自我を失った聖騎士たちが、ピタリと一斉に動きを止める。

 これはチャンス!


「今だ! 【カースバインド・チェーン】!」

「きゃ!?」

「ちょ、おお!?」

「うおっと!? タスク、お前なにをする気だ!?」


 俺は胴体から異能の鎖を放ち、それで皆の体を自分ごとグルグル巻きに固定した。

 続いて新スキル【闇翼】を使って、聖騎士の【光翼】と対をなすような闇の翼を鎖の隙間から広げる。聖騎士とは形状も違い、コウモリやワイバーンなどと同じ皮膜の翼だ。


「フラム! 炎の噴射、できるか!?」

「できるし、タスクのやろうとしてることも大体わかったけど……ああもう、どうなっても知らないわよ!」

「行く、ぞおおおお!」


 闇色の翼が高速震動して空気を叩き、爆発的な推進力を発生させて俺の体を地上から撃ち出す。翼に帯びた闇の力が大気の壁を引き裂いて、空気抵抗も摩擦熱もなく飛翔は加速した。包囲網を軽々と越えて、水平飛行に移る。


 とはいえ女性三人、さらに体格逞しいリザードマンを括りつけた状態での飛行だ。このままではすぐに失速してしまう。


「そう、れ!」


 そこでフラムに後方へ炎を噴射してもらい、推進力の上乗せを図るのだ。

 重力に引きずられかけた体が、噴射によって持ち直す。


「私も風でアシストを!」

「それじゃあオイラは、とっておきの爆薬ポーションで!」


 アスティの操る風で炎が集束し、噴射の効率が上昇。

 そこへニボシが投じたポーション瓶が爆発を起こすことで、グイグイと体が前方へ押し出されていく。この加速に、ただでさえ出遅れた聖騎士たちは到底追いつけない。距離は詰まることなく離れるばかりだ。


 そうして俺たちが飛翔する先には、天まで高くそびえ立つ《ロンギヌスの塔》が。


「オイオイ! タスク、お前まさか、教団の本部に突っ込む気か!?」

「いいや。俺の狙いはそのずっと下だ!」

「下って……!」


 塔にたどり着く遥か手前で、俺は下方に向けて翼の舵を切ると、大きく体を捻った。

 すると体の捻りに合わせて闇の翼が俺たちを包み込み、槍の穂先にも似た鋭い円錐状の外殻に変形。高速回転しながら一層加速する。


 これぞ【闇翼】スキルの第四階梯アーツ。螺旋の回転で敵を貫く飛翔。

 その名も、


「【闇翼の螺旋翔撃】――!」

「「「そんな無茶なああああああああァァァァァァァァ!?」」」


 悲鳴の尾を引きながら、漆黒の螺旋が《ロンギヌスの塔》手前の大地に突き刺さる。

 地面を穿ち、地中のさらに奥……地下深くの迷宮目がけて突撃した。


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