異世界酒場に猫を
異世界という概念の下あらゆる者たちがその酒場に集う。勇者であったり魔王であったり、元勇者が元魔王とアイドルの追っかけをしていたり、と。恐らく時々酒場から不穏な会話が聞こえたりするのであまりいい世界情勢ではないだろう。では猫の要素はどこにあるのかというと酒場のマスターが人間なのである。そして、酒場を訪れる人間らしき者たちはみんな猫なのだ。猫が故に読み手は猫の会話を一切理解できない。ただにゃあにゃあと蚊よりも喧しく泣くばかりである。読み手が知れるのはただ、マスターの言葉のみ。マスターはなかなかの美男子なダンディであるが猫の耳やしっぽが生えているので猫なのだろう。
なんたる人間社会の皮肉であろうか。
「ちょっと。夏目先生。何を書いてるんですか!」
「いや、異世界酒場に猫をという題で新作をだな……」
「もう猫を主人公にしても面白みもないんですから。人気のある恋愛ものを書いてください」
「いや、わしは――」
とまあ、我が主人はあほな小説を書いては編集とかいう役職の常識人に怒られているのである。
吾輩であるか?
吾輩は猫である。まだ、名はない。というか最後まで名前がない気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます