藤と猫と彼女のラプソディ
藤が世界を支配し人類が絶滅した時代。猫という生物だけが唯一藤に飼われていた生物だった。そんな猫、ミュウの前に一人の人類である彼女が姿を現す。ミュウは藤に支配された世界を覆すため、彼女は自分が何者であるのかを探すために旅をする。
その先に待ち受ける藤たちのと邂逅と対立。そして、それぞれがそれぞれの答えを見つけるのだった。
あらすじ書いちゃったね。読書感想文はあまりあらすじを書くなと言われたけれど、意外とあらすじとか作るの難しいし、多分、社会に出てから一番使うことがある能力であると思う。短い文でどれだけ魅力を伝えるか。これの方が長々と感想を書くよりもよっぽど重要だ。
この作品はミュウの視点で書かれているものの、淡白に描写されている。ミュウと彼女はあらゆる場所を訪れるのだが、淡白な語りのおかげで、訪れる場所が殺伐とした廃墟や静かな砂漠であることがよく分かったりする。ただ、藤に対し反抗したいだけの子どもであるミュウ。自分を知らない子どもである彼女。二人は大人の象徴ともとれる藤たちと関わり、そして、お互いもまた知り合い、二人でそれぞれの答えを見つけることになる。
この作品が示しているのは――何であろうか。大人と子どもというのが裏のテーマであると私は感じた。それは藤とミュウ、彼女との対比であって、ではミュウと彼女は一体どういう対比なのだろうか。
恐らくは、二人の過ごした時間は子どもの時のなつかしさなのだと思う。子どもは大人になるにつれて子どもであったことを忘れてしまう。覚えているのは子どもであった時の記憶だけ。その時の気持ちや感想は残っていない。でも、ミュウも彼女も、忘れても覚えていると私は思いたい。
あなたは。自分が猫だった時のことを覚えていますか?
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