仇討ち正十郎と紅花の娘

 



 時代劇など水戸黄門しか見たことがないし、時代小説なんて何故か人斬り以蔵しか読んだことないのだ。そんな私が時代小説の感想文を書くこととなるとは。

 この小説は時代小説ではあるが、単なる時代小説ではない。現代のあらゆる要素を盛り込みながら、馴染みやすいように書かれたものである。竹内緋色だけに。

 まず、登場人物であるが、大きくは4人登場する。一人は正。そして、郎。この正と郎はいわゆる多重人格であり、同じ体に二人の人格があるという状態である。正と郎は互いの存在を認知しており、ぶっちゃけ結婚しろよと長屋の人々に言われるほどであった。普通であれば奇人として嫌厭されるはずであるが、正と郎の人柄や活躍、そして、少しだけ示唆された過去から、長屋の人々に可愛がられているのだと推測できる。

 三人目は娘。物語は三人称ながらこの娘の視点を中心に語られていく。

 四人目は正+郎。

 正と郎の心が超絶最大シンクロを起こしたとき発生する、あんびばれんとくろーずみすてぃっくえまーじぇんしーどりるどりるどりるふゅーじょんである。この現象が起きるためには実は二人は喧嘩してないといけないという皮肉もあるのだが、二人の絆がさらに強くなり巻き起こる奇跡なのである。

 とまあ、とんでも時代劇ものなのだが、それがいい。とんでも時代劇は大好きである。というか、江戸時代に普通にテレビがあるけれど、いいや。テレビ最高。

 これを読んで何が言いたかったかと言うと、確かに、リアリティを出すためにその時代の言葉や文化を調べるのは良いと思う。でも、分からなくちゃ意味がないし、もっとマイルドな時代小説があってもいいのだ。

 かつて、こういう時代にこういう人々がいたかもしれない。そういう仮定の下、ではどのように時代に足掻き、どのような生きざまを見せたのか。

 え? ネタバレして欲しい?

 娘は実は人間を滅ぼす植物型エイリアンで、正と郎は信じる信じないでぶつかり合いながらも最後に正+郎の目からビームで娘を殺して大団円です。

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