続き。そして最終回……………?
「お前、喜ばんのか?」
「ん。喜んでるよ」
今は夏コミの打ち上げ会をしてる。まぁ、北さんの部屋の方でだけど。
北さんは同じアパートに住んでる男の人で数少ないオタク友人の人だ。そして、俺のサークルを何時も手伝いに来てくれる人でもある。
俺が作った同人誌はそりゃあ、売れに売れまくったさ。嬉しい気持ちで今は一杯だ。
優花に会いたい。
嬉しい気持ちすらも押し殺す程に優花に会いたいと思ってしまう。本当は思ってはいけないことだ。俺は散々意地とプライドを張っていたんだから。
優花はあれから一度も俺の家に来てない。まぁ、来ないって思ってたから良いんだが。
いや、少なからず、来てくれると思っていたからこんなにも会いたい気持ちが湧いてくるのかもしれない。
「なんだ? 女にでもフラれたか?」
「………」
「………………そうか。まぁ、ほしいことしたよな。あんな可愛い女の子だったのに」
「何で、知ってるんですか……」
「まぁ、何度かお前の家に入るの見たことあるし」
「そうですか」
「何があったんだよ? 話なら聞くぞ?」
「………」
俺は何があったかを全部、北さんに話した。話したら少しはこの気持ちも大人しくなると思ったから北さんに全部、話した。
全然話したあと、北さんは煙草を一本吸い始め、ふぅぅ、と煙を吐いた。
「そりゃあ、お前が悪いな。妙なところで意地やプライドなんて張るな。好きな相手だったんだろ?」
俺は小さく頷いた。
「お前の気持ちは少なからず分かる。俺にも昔そんなことあったし。でもなぁ、好きな相手なら意地やプライドなんて捨てろ。結局後悔するのはお前だぞ」
「………」
言い返せない。いや、言い返せる訳もない。北さんが言ってるのに事は事実で俺は今さらながら後悔してる。
情けない。こうなるならあんな意地張るんじゃなかった。
張っていた理由は昔あったトラウマが原因かもしれない。
唯一信じていた友達に裏切られてから多分俺は変わったんだと思う。
一人で居ればあんな思いはしなくて良い。一人なら気楽にやれる。もう一人で居れば良いんだ。
「はぁ。すいません、俺、帰ります」
「そうか。まぁ、余り思い詰めるなよ?」
俺は北さんに軽く頭を下げて自分の部屋に戻って行った。
(優花………くそ、何で意地なんて張るんだ、俺は………優花に会いたい。でも、あいつは来ない。いや、もしかしたら来てるかも!)
優花なら俺にも会いたくて来てるかも、あんなけ俺に執着してたんだもん、来てるよな。
おれはそんな願望を持って自分の部屋のドアを開けた。
「………」
ドアを開けて最初に見るキッチンには姿がない。
そりゃあ、そうだ。あんな事言ったんだから来るはずない。
「はは……」
渇いた声で笑う圭一。そのまま居室の方に行き。
「………はぁ、バレバレだぞ。優花」
ベットに変な膨らみがあり、そこから「えへへ」と言いながら優花が姿を現した。
「バレましたか」
「バレましたって、そんな所に居たら誰でも分かるわ」
優花は何故か制服を着ていて、その服装にも優花がしてる行動にも呆れてため息をつく。
「ほぇ?」
俺は優花に近づいて溜まっていた思いが止められず優花をつよく抱き締めた。
「優花、ごめん」
「何がですか?」
「俺、変な意地張った。ごめん」
俺はひたすら謝る。許して貰えるとは思ってないけど謝る。優花だけには嫌われたくないそう本心が言ってるから。
「はぁ。なら、襲って下さい」
「はあ? 何でそうなる?」
「ふふふ、大丈夫ですよ。私も初めてですから。あ、空助君なら今日はご実家に行ってくれるそうです」
「いや、だから、俺の話を」
「やらないなら、薬でも飲ませましょうか?」
一向に話を聞かず襲えと言ってくる優花に呆れ。
「分かった。襲ってやる。でも、」
「勿論、生でしてくれますよね?」
俺が言う事が分かっていたみたいで先に言われてしまった。
「あぁぁ! 分かったよ。生ですれば良いんだろ! でも、したからにはお前を離す気なんて無くなるからな?」
「光栄の極みです。その為に今日は制服で来たんですから」
「ふーん。痛くても怒るなよ」
「ほぇ!?───」
こうして、少し………いや、かなりおかしい仲直りをして優花と俺は正式に付き合うことになった。
これからだ。オタクの俺が現実へと目を向ける事になるのは。それを気づかせてくれるのは優花。俺の大切な人だ。
追記;作者からの読者様へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
これにて「現実の恋愛は俺には難しい」は終わります。応援して下さった皆様ありがとうございましたm(__)m
そして、これについて少し話したいことがあるので良かったら近況ノートに来て下さい。
現実の恋愛は俺には難しい 南河原 候 @sgrkou
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