第6話;いつか通報してやる………

「なぁ、住居不法侵入でお前ら通報して良い?」


「そんなことしたら襲われたって言います」

「同じく」


この、三次元の理不尽を味方に付けた奴らめ……………


俺の家に勝手に居るこいつらは完全なる不法侵入で訴えられるのだが、こんな状況で訴えても俺が反対に捕まるだけだ。


「て言うか、私は何度もチャイム鳴らしたし、訴えるなら合鍵を勝手に使ってるこの子でしょ」


確かにチャイムを何度も鳴らされた。だからと言ってそこで開けるバカではない。


こいつも言ってきやがった「開けないと酷いことされたって叫ぶわよ?」っと――――


それを言われたら開けないと俺の人生が終わる。



――――くそ、いつか脅迫罪で訴えてやる



「で、夜に何用だ。お前ら」

「私は何時も通りですよ。出来るお嫁さんアピールしにきただけです」

「え! 何時も!? ちょ、ちょっと! 毎日ってどう言うこと!?」

「そのままの意味です。私は圭一さんが好きですから、振り向いて貰うために毎日アピールしに来てるんです」


優花の言葉に慌てだすリリス。優花は冷静な顔で言うが何処か誇らしげにしている。


「えぇ! 圭一さんって名前呼び………眉桷君、私も」

「好きにしろ。俺は作業するからもう大人しくしててくれ」


自分の話を一向に聞かない二人呆れてとぼとぼっと部屋に行ってしまった。


リリスがそれについて行こうとしたら優花に止められ、一緒に圭一の家のことをやることになった。




「ゆ、優花、腹………何でもない」


危うく優花に腹が減ったと言い欠けてしまった。段々、優花が居ないと何も出来ない奴になってきている。


これは、かなり侵食されているな。


「ふふ! 圭一さん、少し待ってて下さいね。直ぐに作りますから」

「いや、良いから帰ってくれ」


優花は訊かないで料理を作り出した。


(無視か。それならこっちにだって策はある)


「えっと、名前なんだっけ」

「な! リリスだよ! 覚えて!」


余り覚える気にもなれんが今はこいつを使うしかない。


「リリス、部屋で少し話そうか」

「うん、良いよ~」


俺が他の女と一緒に行けば優花だって嫌気が差すだろう。これで大人しく帰ってくれれば良いんだが………


通る時にチラッと優花を見ると何故か泣いていた。


「優花!? だ、大丈夫か! 手でも切ったのか?」

「いえ、大丈夫ですよ。ですから、早くお部屋に行かれたら?」


なんだよそれ。何時ものお前らしくない。


「怒ってるか?」

「いいえ」


怒ってるだろ。どうしてお前が怒るんだ。怒りたいのはこっちなのに何でお前なんだ………………


「おい、何か不満があるなら言え」

「ありませんから。大丈夫ですよ」


ツンっとした態度で接してくる優花にイライラが込み上げて来た圭一。


「何に怒ってるんだ!」

「だから、何もと言ってるでしょ! これ以上何か言うと変な薬入れますよ!」


「な!? 変な薬だと………………。だ、だったら食わなきゃ良い話だ!」

「なら、襲われたって言います」


また、それか………………


圭一は黙り込んでしまい。優花はまだツンっとした態度で居る。


何で、何で、こいつが怒ってるからって俺がイラついてるんだ。


ラノベで行くならこれはもう――――


違う。俺は三次元は好きにならない。だから、この気持ちはただあいつが怒る理由も無いのに怒っているからイラついてるんだ。


「優花」

「まだ何かあるんですか?」

「その、ごめん。怒ってる理由は分からないけど、お前が怒ってるのは何か嫌だ。どうしたら機嫌直してくれる?」

「なら、キスして下さい。唇にですよ?」

「うっ、頬じゃ駄目か?」


少し優花は考えると腕を前に出して圭一は戸惑いながらも優花を優しく抱き締めた。


「このままなら、頬でもおでこでもどっちでも大丈夫です」

「わ、分かった」


そっと優花の頬に手を当てる。


きめ細やかな肌。スベスベでそれでいてモチモチした感触はずっと触っていたい気もする。


「優花、ごめん」

「ですから、してくださる………………!?」


圭一はいきなり頬でもなくおでこでもない。唇にキスをした。


優花もいきなり過ぎて驚ききつつも強引にしてくる圭一に必死に掴みたまに「うぅん!」っと少しエロい声も出してしまう。


「優花、今日は泊まって行くか?」

「ふぇ!? あわわわ、その、えっと。ふぇ?」


「バーカ。もう遅いから早く帰れ」


圭一は優花にデコピンをしてから部屋に戻って行った。


「ずるい。ねぇ、何で付き合ってもないのにキス出来るの?」

「それは、相思相愛ですから! わ・た・したち!」


その対応にイラッとしたリリスはそれを堪えて一瞬だけニヤけを見せた。


         ☆


「何で、お前らを俺が送らんといけないんだ」

「って、言うけど、結局送ってくれるんだもんね! 圭一は!」


俺は両サイドに居る二人を見て溜め息をついた。


それから、駅に着くと優花とリリスはホームの方に行ったので俺は帰ろうとした。


「圭一~」

「ん。お前、さっさと帰れよ」


何故かリリスが戻ってきて圭一は呆れ気味で言う。


リリスは圭一の前まで来るとじぃぃっと見ており圭一は不思議そうに首を傾げていた。


「ねぇ、圭一は優花が好きなの?」

「いや、好きもなにも、俺は二次元を愛するオタクだ。まずそんな事はありえん」


「ふーん。じゃあ、何でキスしたの?」

「え」


ほんっと、何でしたんだろう。自分でも分からない。優花が好きかと言われれば好きでも無いし勿論嫌いでもない。


だったら、なんだ。優花が好きでも嫌いでも無いならキスする理由………………


「ま。圭一はバカってことだね」

「バカって何でだよ」


「こういうこと」


         ☆


俺は家に帰宅中してきた。今日は疲れたからそのままベットに向かって倒れ込んだ。


(あの野郎………)


「はぁ、考えても仕方ないか」


俺はさっきリリスとのやり取りを考えていたが深く考えると頭が痛くなるから考えるのを辞めた。

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