第3話;遺書書きたい………
この世は理不尽だ。何もやってもいないのに疑われ、そして罰せられる。
だから、三次元は嫌いなんだ。この様に………
俺は学校に登校してきた途端に柔道部の奴らに囲まれてそのまま連行されたら昨日、俺に不幸の手紙を渡してきた張本人が壁ドンをしてきた。
(うわぁ、相変わらずこわ。この眼力が一番怖いわ)
この白目を剥いた目付きに強靭な肉体の男は本当に高校生なのか疑わしくなってくる。
「おい、優花の告白を断ったって本当か?」
「え。あ、はい。先輩も俺を知ってるなら断った理由ぐらい分かりますよね?」
「っ………。オタクなんだってな。お前」
分かってくれてるなら話は早い。ずっと壁ドンされたままも嫌だから早く帰りたい。
「話は終わりましたよね? なら、俺は生きま………………ひぃ!」
顔の横を殴られ、殴られた壁はへこんでいて俺は思わず変な声をだしてしまった。
(怖い、怖い、怖い怖い! 何この兄妹………………違う意味でどっちも怖いんだけど)
鋭い眼力は本当に怖い………
俺は腰の力が抜けてしまいその場に座り込んでしまった。
先輩もそれに続いてしなくても良いのに屈んで俺を睨んできた。
「あの、俺死ぬ前に遺書書きたいんですけど」
「遺書? 確かにお前は殺したいぐらい妬ましい奴だが、そんなことをしたら俺が優花に嫌われる。それは絶対に避けなげればいけない事態なんだ!」
あ、分かった。この人………………シスコンだ。
紛うことなきシスコン野郎だ、こいつ―――
「じゃあ、何で俺は連れて来られたんですが?」
「それは、お前から優花に嫌われる様にしろ」
「はい?」
俺から嫌われる? いや、あれは無理だと思う。
ラノベや色んなギャルゲーをやってきたからそういった経験上、あのストーカーは無理だ。人を脅してまで家に上がり込む奴は普通の常識じゃあ無理だ。
理解をしてくれない――――
「良いか? 分かったならそうしろよ」
それだけを言って先輩は行ってしまい俺はまだ呆然としていた。
「ね、ねぇ、大丈夫?」
当然前から話し掛けられ上を見上げると、黒髪美少女が立っていた。
長い黒髪ロング。それでいて艶がある綺麗な髪だ。足は長く黒のストッキングを履いていて少しエロいと思ってしまった。
(三年の先輩かな?)
見た目はもう年上のお姉さんって感じがして俺は一つ上の先輩だと思った。
「あの、本当に大丈夫?」
俺が見とれていて返事を返さなかったために先輩が更に心配する顔で覗き込んできた。
「あ、はい。大丈夫ですから。それじゃあ」
圭一は走って行ってしまい。圭一を心配をした女の子は唖然としていた。
☆
教室に来ると何時も以上に視線があるが気にしないで席に座り。
(あー、そう言えば走って来ちゃったけど………まぁ、どうでも良いか)
圭一は分かってる通り三次元の現実が嫌いだ。だから、失礼と言う情が全くない―――
「ん。ソラ?」
弟の
兄さん、彼女おめでとう。
それを読んだ瞬間に俺の頭が停止した。
暫くするとやっと頭が回り全てを理解しだした。
(うーーん? 何で、空が知ってるんだよ。それに彼女じゃないんだけど)
俺は何で知ってる、彼女じゃないけどなっと返すと信じられないのか(-_-)こんなのが送られて来て放課後会うことになった。
「はぁぁ」
大きな溜め息をついて放課後が憂鬱だと感じた。
☆
「あ、兄さん」
俺より背が低く女の子みたいな顔付きで俺と似てなさ過ぎる弟だ。
良くそれで俺達が本当に兄弟なのか聞かれるけど血も繋がっている歴とした兄弟だ。
「で、何でお前がこいつと一緒なんだ」
俺をストーカーをしていた水野優花が可愛い弟と一緒に居やがる。もう一人誰か女の子が居るけどそっちより今はこっちのストーカー野郎だ。
「ん? 嫉妬は良くないよ。ただ僕が兄さんの所行くって言ったら二人付いてきただけだから」
「嫉妬なんてしねーよ! ソラ、お前そいつ分かってるのか?」
「はぁ、こんな兄ですけどこれからも宜しくお願いします、水野さん」
「はい! 任せて下さい!」
圭一はパシッン!っと水野の方を叩いて。水野は痛いのか頭を抑えて屈み込んでしまった。
「兄さん、今のは良くないよ、いきなり彼女さんを殴るとか」
えぇ、そんな怒った顔で兄ちゃんを見ないで……………
「ソラ? こいつは、その、な! 俺の」
「うぅぅ、圭一さんいきなり叩かないで下さい。昨日はあんなに愛し合ったのに」
はあ? 何言ってんの。こいつ――――
「いや、愛し合った覚えは」
「うぅぅ! あーちゃん圭一さんが苛める~!」
こ、こいつ。もしかしてバレたくないのか?
水野は泣きながら女の子友達に抱き付いていきよしよしっと撫でられている。
「はいはい、大丈夫だよ~綾香がついてるからね~! 空助君のお兄さん! いきなり女の子を殴るとか酷いです! 空助君のお兄さんだからって何でも許されると思わないで下さい!」
「いや、だから」
「あーちゃん、良いの。私が圭一さんに失礼なことしたんだから」
辞めろ、お前がそれ以上言うと更にややこしくなる。
あー、ほらみろ。謝れって目でこいつら見てくるぞ。
ソラなんてもうゴミを見る軽蔑目で見てくる始末だし、これって本当に俺が悪いの?
「あー、はいはい。ごめんごめん」
「何ですか、その心がこもってない謝り方は!」
「そうだよ、兄さん。ちゃんと土下座して謝れ!」
こ、こいつらウゼェ………………。
「キスしてくれたら、許してあげます」
「ああ? てめぇ、いい加減………………ちっ」
二人がじと目で俺を見てきて水野に関してはずっと泣いて二人に庇ってモ貰っている始末だ。
「キスは、その、えっと、無理。他なら良いけど」
「兄さんのヘタレ~!」
「お兄さんのヘタレ~!」
こいつらぁぁぁ!
俺を煽って来る二人に怒りが芽生えるが拳を強く握り必死に堪える。
「なら、今週末デートして下さい」
「………その、週末は用事が」
「ふーん。浮気ですか? そうですか、浮気なんですね」
そんな感情がこもってない言葉でこの場が一瞬で凍り付いた。
浮気って、俺達付き合っても無いのになんでそうなる?
「あのなぁ、俺はお前とそう言う関係じゃないだろ。それに週末用事があるのは新作が出るから行かないといけないだけだ」
「新作って、ラノベですか?」
俺は頷いて。水野は暫く考えるポーズをとった。
「ねぇ、兄さん、本当に水野さんと付き合ってないの?」
「あぁ、あいつはストーカーだ」
「はあ? ストーカーって、それは無いでしょ。と言うか居たら通報するよ。僕が」
なら、通報して貰いたいものだが証拠無しにも通報は出来ないからな。どうやってこれから通報するか………。
「あの、圭一さん。さっきのデートから変えても良いですか?」
「ん。良いけど」
もじもじしながら頬を赤く染めて水野は言ってきた。
「ゆ、優花って名前で呼んで欲しいんです!」
「………」
何故、普通大胆に行動出来ないことはしてくるのに、こういったことは本当に恋する乙女みたいな感じで言ってくるのか謎だ。
「良いよ。それぐらいなら。優花」
「はい! 圭一さん!」
パァァっと明るくなって笑みを見せる優花。
ああ、糞。可愛いなこいつ………………
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