第3話干しブドウ2つ

こうして、卓球部の練習がおわったら、2人で帰った。

2人のことは、卓球部内でウワサになった。栄子は、私の方がかわいいのにと、京子にやきもちを焼いた。


「あなた、和弘と付き合ってるの」

「いいえ」

「隠したってムダよ。わかってるんだから。許さないわよ」


9月26日、運動会の予行演習があった。

和弘と京子が、運動場で100円玉を見付けた。2人同時にかがんだ。


京子は、生地の薄い服だった。

服の前がふくらんで、京子の胸が見えた。


平らな板に干しブドウ

2つだった。


和弘はショックを受けた。

ショックの1つは、京子の胸が見えたこと。


2つめは、京子の胸が、まな板にうす茶色の小さな干しブドウ2つであったことである。


まったくふくらみのない胸であった。

高校生の女子に胸がふくらんでいない子がいるとは、知らなかった。


この事件以降、和弘は、京子を避けるようになった。

京子は、なぜ、和弘が冷たくなったのか、わからなかった。

悲しかった。

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