第10話告白タイムはまろやかに
ポカンと驚く上念さん。
あー、言っちゃった、と私は思う。
そのまま私たちは2,3秒固まっていて、上念さんの方がちょっと気まずい沈黙を破った。
「やー、いや、あ、そっか。俺、なんだか、勘違いしてた。」
恥ずかしげに弁解する上念さん。
「花村が、いつも感謝してくれて、ブラックコーヒーを美味しそうに飲んでくれるから。当然好きなもんだと思っててさ。いやー、ごめんごめん。いつも無理してオレの勘違いに付き合ってくれてたんだね。本音で生きろよなんて、えらそうに説教しておいて、いざ本音でこられると、やっぱちょっと、気まずいもんだね。うわー、オレ、今、超はずかしいわ。」
ポリポリ頭をかいて笑う上念さんは可愛らしかった。
私は、そんな彼を見ていて気付いた。ブラックコーヒーが嫌いだと、どうしても言えなかったのは、彼に嫌われたくないからじゃなかったのだ。
いつも私を喜ばせようとしてくれる上念さんの、さりげない気遣いが嬉しかったから、ブラックコーヒーをもらえることが本当に幸せだったから言えなかったんだと今、わかった。
私は上念さんのことをいつのまにか、大好きになっていたんだ。
「ブラックコーヒーは飲めないんですが、そんな私で構わなければ、上念さんのお嫁さん候補にいかがですか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます