第10話告白タイムはまろやかに

ポカンと驚く上念さん。


あー、言っちゃった、と私は思う。


そのまま私たちは2,3秒固まっていて、上念さんの方がちょっと気まずい沈黙を破った。



「やー、いや、あ、そっか。俺、なんだか、勘違いしてた。」


恥ずかしげに弁解する上念さん。


「花村が、いつも感謝してくれて、ブラックコーヒーを美味しそうに飲んでくれるから。当然好きなもんだと思っててさ。いやー、ごめんごめん。いつも無理してオレの勘違いに付き合ってくれてたんだね。本音で生きろよなんて、えらそうに説教しておいて、いざ本音でこられると、やっぱちょっと、気まずいもんだね。うわー、オレ、今、超はずかしいわ。」



ポリポリ頭をかいて笑う上念さんは可愛らしかった。


私は、そんな彼を見ていて気付いた。ブラックコーヒーが嫌いだと、どうしても言えなかったのは、彼に嫌われたくないからじゃなかったのだ。



いつも私を喜ばせようとしてくれる上念さんの、さりげない気遣いが嬉しかったから、ブラックコーヒーをもらえることが本当に幸せだったから言えなかったんだと今、わかった。



私は上念さんのことをいつのまにか、大好きになっていたんだ。



「ブラックコーヒーは飲めないんですが、そんな私で構わなければ、上念さんのお嫁さん候補にいかがですか?」

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