第四幕 三月

今日で終わりなんだと。そう思うと、何故か、惜しい気持ちが心の底から湧いてくる。毎日、面倒くさいとしか思っていなかった癖に最後の最後になって、気持ち悪いと自分でも思う。

ハンガーに掛けてあるくたびれた白色のブラウスを手に取り、じっと見つめた。

それは入学から、まさに今日まで共に歩んできたブラウスでお気に入りだ。

そっと、腕に通して、ボタンを閉じる。この動作だけでも色々な事が走馬灯のように頭を駆け巡る。

あぁ、と懐かしげに感嘆を漏らす。部屋は静かだ。

スカートもプリーツが乱れて、折り目もあやふやになっている。前日にアイロンを掛けておくべきだったと後悔してみても遅すぎた。

しょうが無い事なので、文句を言わずに履き進める。腰より少し高めに上げ、二三回、縁を捲った。

流石に止めた方が良いだろうか。そんな思考も一瞬過ぎるだけで部屋の塵となった。

今日は暖かいらしい。ハイソックスだけで大丈夫だろう。

紺色のブレザーを手に部屋を出た。

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