第8話 ネコとお風呂
二ヶ月前はまだ良かった。
ネコは耳と尻尾以外はほぼ人間と同じ体で、子供体型なら問題はなかった。
「ご主人ぅ〜。早く、お風呂入ろう」
「なぁ……そろそろ一人で入ってくれないか?」
「いやー」
だからこそ、美少女に成長を果たしたネコとお風呂に入るのは、男としては嬉しい反面、色々と生殺しになるのであった……。
(そもそもネコって、お風呂を嫌う筈なんだけどなぁ……)
しかしティアに関して言えば、寧ろ自分からお風呂に入るほど好んでいる。けれど、これだけ成長したにも関わらず、未だに貴紀に洗わせようとする悪癖がある。
「にゃあぅぅ……。くすぐったいのご主人……」
頭を洗ってやると甘えた声で鳴く。
「ご主人。もう体も洗ってよー」
「……それくらいは自分でやれ」
「えぇーー……」
背中までなら、まだ……。しかし前を洗うのは理性的にヤバい。
(うっ……やっぱ、綺麗な肌だよな。それに綺麗な形のおっぱいが……っ)
男には刺激が強過ぎる。只でさえ恋愛経験が乏しくて、女性経験皆無な男にとっては最高であると同時にやるせない。
例えネコでも、その胸や尻は人間そのものであるため、興奮しない訳がない。
(背中だけなら……。けど前を洗ったりしたら……り、理性が保たん!)
「……? ご主人?」
「ほら、前は自分で洗いなさい!」
「にゃ♪ こちょこちょダメー♪」
「ってこら、暴れ──」
体制を崩して、二人は床に倒れ込む。
「いたた……ティア大丈……」
「にゃあ……」
貴紀は目を疑った。貴紀はティアに押し倒された格好で、その右手は柔らかくて、小さな突起のある物体を握っている。それが何であるかは、確認するまでもなかった。
「お、お……おおおおっ!?」
「にゃいん……♡」
思わずその手に力を込めると、今まで聞いたことのない甘い声が漏れる。若干頬を赤く染め、何が起きたか分からないようである。
「……ッッ!」
貴紀もそれで我に返って、慌ててティアから体を離す。そして倒れた時に落としたタオル拾い、膨らみかけた愚息を急いで隠す。
「ご、ごめんなティア! どこかぶつけたりはしてないか?」
「にゃ……? にゃあう……」
「じゃあ……その、お、俺はもう上がるから! ティアはちゃんと体を温めてから上がるんだぞ! じゃあな!!」
ティアは未だ放心状態だが、貴紀は勢いで謝罪して、そのまま風呂場を後にした。
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