「22頁目 ライアンを救え!」
×月◇日 港町ハバリア
昨日の日記は、なんか情緒不安定になっちゃったね。恥ずかしい。旅が長くなると、感傷的になる日もあるってことで。
さ、気を取り直して今日の話をするね。
今朝、ライアンさんが向かったっていうキングレオのお城に行ってみたんだ。ハバリアから南へ数時間、大きなお城だったけど、なんか嫌な雰囲気が城壁越しにもピンピンきた。
そもそもこのキングレオ城は要塞って感じの堅牢な作りで、外から中の様子は一切覗けない。それに加え、ハバリアは良い天気だったのに、お城に着いた途端、空は暗くなっては暗い雲が渦を巻き始めて、なんか不気味な雰囲気だった。
わたし達は臆することなく近づいてみたのだけど、鉄門は固く閉ざされていて、門番の兵士はわたし達を見るなり槍を突きつけてきた。
「ここは偉大なるお城キングレオだ! 怪しまれたくなかったら早々に立ち去るがよい!」
なんて高圧的な態度なんだろう。今まで訪れたお城の門番はみんなにこやかに旅人を受け入れてくれたというのに。門前払いなんて。
ムッとしたアリーナが反抗的な態度を取ったんだけど、ミネアが制止して一旦は引くことにした。
「なんなのよあいつらの態度!」
って苛立つアリーナをなだめながら、どこか他に入り口はないかと、お城の周りを歩いてみた。
すると、木々の影から吟遊詩人のような出で立ちの男の人が現れたんだ。
中性的な美男子でね。すらりとした体躯に金色のサラサラヘア。吸い込まれそうな澄んだ瞳をしていて、なーんとなくだけど、シンシアと雰囲気が似てるって感じた。別に外見が似てるわけじゃないんだけど、雰囲気が似てるっていうか、うーん、うまく言葉にできないんだけど、人間離れしてる感じの美しさを持った人だったんだ。
「僕はホイミンと言う旅の者です。どうかお城の中のライアン様をお助けください! 魔法の鍵があれば忍び込めるはずです。少し北の港街ハバリアで何か分かるかも……。」
って感じで、助けを求めてきたの。過去にライアンさんと一緒に旅をしたことがあるみたいで、すごくライアンさんのことを心配していた。
わたしの手を取って涙を浮かべるホイミンさん。こんな綺麗な人に頼まれると嫌とは言えないじゃない。まあ初めからライアンさんを助けたいとは思っていたのだけれど。
それで、一度ハバリアに戻って魔法の鍵の情報を集めることにしたんだ。
ハバリアに戻って街の人に話を聞いていると、なかなか重要な情報を得ることができたの。
港の近くの道具屋さんの主人が教えてくれた。
「魔法の鍵だと? そんな物がこの世の中に……。あるんだなこれが! 俺の店では売ってないけどよ。噂では錬金術師なら簡単に魔法の鍵を作れたらしいぜ。そういや昔、南のコーミズ村に錬金術師がいたっけなぁ」
その言葉を聞いてマーニャとミネアが見つめ合って頷いた。なんとマーニャとミネアの父親がその錬金術師なんだって!
というわけで、これからコーミズ村に向かう予定。もう太陽は傾き始めているけど、のんびりしてたらライアンさんが危ない。
☆
『今日のことじゃないけど、思い出したから書いておくメモ』
仲間になったアリーナが盗賊の鍵というアイテムも持っていたので、今まで旅してきた街やお城で盗賊の鍵で開くところはないかルーラを使って巡ってみよう、となった日があった。
ブランカからエンドール、ボンモール、レイクナバ(日記をまだつける前だったから初登場の地名だけど、トルネコさんの故郷だ。別に特に重要なイベントがあったわけではない)、ミントス、アネイル、コナンベリー、と巡ってはみたけど、全然ないのね盗賊の鍵で開く扉。無駄足だったみたい。
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