「20頁目 死は唐突に……」

 ×月◎日 次の次の日 ミントス


 ……死んだ。

 びっくりしたよぉシンシア。


 全てはアリーナ姫の一言から始まったんだけど、もー超こわかった。



「この島にはどんな魔物がいるのか、ちょっと見てみない? 腕試し腕試し♪」


 リバーサイドの村で一泊したわたし達。朝食中に元気いっぱいのアリーナ姫がにっこり笑って言ったんだ。お姫様の言うことはちょっと聞かないとまずいかなって思うじゃん。わたしなんか勇者だといっても、山奥の田舎の村娘なわけだから。格が違うじゃん。クリフトさんは「危険なことはいけません、姫!」

 なんて言ったけど、全然アリーナは聞いてないわけ。


 で、仕方なく船は村においてこの島を探索してみることにしたの。

 南だからかな、あったかかった。草の匂いもソレッタ大陸とは違う感じ。


 ぴょんぴょん跳ねて先を歩くアリーナを追ってリバーサイドの集落から島に上陸したんだけど、しばらく歩くと魔物が現れたの。


 現れたのはイタズラ好きの小悪魔って見た目のミニデーモンが四匹。見た目だけだと前に戦った使い魔ってのに似てるから、全然強そうには見えなかったのね。

 ベロとか出してバカっぽいし。


 だから「ガンガンいこうぜ」って言ったんだけど……



 ボッコボコにされちゃった。



 ブライさんはミニデーモンの放った火炎魔法メラミをまともに受けて一撃で黒焦げになっちゃった。

 これはヤバイかもって思ったんだけど、あいつらすごくすばしっこいの。わたしが剣を振るうより早く、わたしを取り囲むと、三又のヤリで集団暴行。


 あっけなくわたしは意識を失ってしまった。。



 そして、気がついたらミントスの町の教会で生き返らせてもらっていたんだ。


 もう、本当に怖かったよ。


 どうやってあの窮地を脱したのかはわからないけど、なんとか逃げ出して、トルネコさんを先頭にリバーサイドの村に戻り(この村には教会がないの!)船でミントスまで棺桶を運んで連れてきてくれたらしい。感謝の言葉しかない。もう少し日にちが立ってたら、勇者といえど腐っちゃってたかもしれないね。


 わたしと一緒に生き返らせてもらったブライさんと肩を縮こませて恐縮しきりだった。


 夜、二人だけで宿屋の屋上に行って夜風にあたり、話し込んだ。

「もう少し慎重に行動しましょうね」と肩を寄せ合って、これまでのそれぞれの旅のことや、アリーナ姫に対する小言とか、色々と話した。

 ブライさんと不思議な絆が生まれた瞬間だった。


 さ、ということで、ミントスの宿屋で一泊して、明日は西の大陸(キングレオ地方)に向かうよ。


 追伸

 ホフマンは元気に頑張っていた。良い宿屋さんになれるといいね。

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