#138:惨憺な(あるいは、週末のウェィークエンド)

「第2ピリオド開始するぜっ!! 属性カード、スロッティンっ!!」


 俄然優位になった僕らだが、まだまだ気は抜けない。属性を何にするか、先ほどの電撃菊座破壊指弾を目の当たりにしているので、やはりパーは出しづらいか? いやその裏をかく? 


 相変わらずこの出し手は戦略性があるのかないのか判らないままだ。いや、きっとないのだろうけど。サインとか細かく決めてたのって一体なに。


「……」


 結局適当にカードを装置に挿し入れてしまった。そして注目の指名権抽選……っ!! 運営側もおそらくはもう露骨にやってくるだろう。でもひとり欠けてる時点でその脅威は半減しているといっても過言じゃない。


 < PERIOD2:

 1st:ヤブ=シ

 2nd:トウドウ

 3rd:タメイド >


 やはり。そこらへんが操作の限界。よっしゃ来ぉぉぉぉっ!!


「指名、ムロト」


 と思ってたら、おっと、僕に来た。チャラ男……因縁を感じているとでもいうのか……!! Woomの借りを……返そうとでも?


「指名、ヤ〜ブ〜シ〜」


 そして、腹に響く声で丸男。徹底しているね。さっきは返り討ちだったけど。今度こそいっちゃってください。


「指名、ムロト……さん」


 タメイド……いい度胸だ。「さん」付けにしているが微妙に馬鹿にした口調……思い知らせてやる。


 僕のガン付けに一瞬、身を引くタメイドだったが、すぐに立て直すとこちらをにやにやとした表情を貼り付けながら見やってくる。野郎っ!!


「指名が被った場合は、指名者→指名者→被指名者の順に変わるから要注意だぜ。つまり今回はヤブ=シ→タメイド→ムロトの順」


 そうなんだ。でも後付けは要注意しようがなはぁぁぁぁいっ!!


 <1st指名者:ヤブ=シ:着手>


 そんなこんなで各自の思惑を孕んだまま、第2ピリオドが始まる……っ!!


「……付き合い始めたばかりの初々しいやり取り、それだけに特化したくて、女のコ7人を曜日ごとに取っかえひっかえしてたけど、ひょんな事から、水瀬ちゃんが月曜で、月島ちゃんが水曜になっちゃってて、いや取り違えるわって葛藤していたわけだけど……結局『子猫ちゃん』統一で事なきを得たっていう、そんな話」


 子猫ちゃん縛りでもあんのか。正直羨ましいけど、浅い。浅いよ矢伏くん。


 <ヤブ=シ:26,341pt:グー>


 ポイントはそこそこだけど、グーか。うーん。


 <3rd指名者:タメイド:着手>


「……女性に別れ話を切り出す時、みなさんはどうされていますか? 私は出逢いに感謝すると共に、別離があるから出逢いが輝くと、そう信じて申し上げています。例え終わりがあろうとも、出逢いを否定するわけにはいかないのですから」


 もう陶酔入っちゃっててDEPじゃねえだろ。女性客からはキャーという歓声がちらほら出てるけど、内容も手垢のついたテンプレで。お前はダメを履き違えているっ!!


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