#139:爆熱な(あるいは、世界は僕らの手の中で永遠)

 よく評価軸がわからない着手だったけど、


 <タメイド:21,009pt:チョキ>


 そこそこの評点得ているって、やはり女性の力は凄い。そしてなるほど、属性を分けてきたのか。グーとチョキ両方を相手に出せば、どちらも負けるということが無くなる。そういう戦略もあるのね。まあ、もうそれ関係ないのではと思うけど。


 <1st被指名者:ムロト:着手>


 でも二人からご指名受けてるからね。ここは踏ん張らないとね。このDEPを出したら後々サエさんからの仕置きは確実と思われるけど、でも勝つためには仕方がない。仕方が……ないんだ。僕は大きく息を吸い込んだ。


「……友達以上、恋人未満って言うじゃないですか。じゃあどこまでの行為が許されるかって話なんですけど、そもそも××を伴うフレンド関係もあるわけで、そこんところややこしいですよね? もう友達でも恋人でも××は解禁するべきなんじゃないかと、そう思うこの頃なわけで、つまり僕が言いたいのは、××しちゃってからの××もあるんじゃないか的、自由に包まれた世界をっ……!! 要求する……っ!!」


 またしても沈黙が会場を覆い尽くすけど。ダメなのか?


 <ムロト:33,333pt:パー>


 ゾロ目の時は3倍付けとかのルールがあれば……っ!! まあ、屠れるだけの評点は叩き出した。


「い、淫獣……オブズワァゥル……」


 またしても絶句の桜田さんだけど、ん?このDEP、駄目だった? 会場からもどよめきが降り注いでくる。いやいや当然のことを……言ったまでです。


「ヤブ=シ選手に23,658ボルティック相当、タメイド選手に1,819ボルティック相当のパーが、グレード2にアップしてのブーストだっ!!」


 「グレード2」!! そうか二人・三人に勝利・敗北したら仕置きがハイグレードになるというルールが確かにあった。しかし、何がアップするのというのかっ?


「!!」


 ヤブ=シ・タメイド両人の背後の阿修羅像くんが、不穏な機械音を発する。と同時に、先ほどタメイドに平手を食らわした手とは逆の、使用されていなかった中段右手が軋みながら、掌底を打ち出そうとするかのように後ろに引き絞られていった。恐ろしいことに、そのおそらく金属で出来ているだろう掌は徐々に温度を上げているっ……!? ご丁寧にディスプレイには<ただいまの温度:82℃>との表示が。


「南太平洋に浮かぶ灼熱の火山郡島をモチーフにした、『アスラニック=ロクロード』最大奥義のひとつ……」


 桜田さんが重々しい声でそう告げると共に、二体の阿修羅像くんの中段右手がチリチリと不気味な音を立て始める。惨劇の予感……っ!!


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