#104:才気な(あるいは、合法it)

「……この3名が!! 6組を華麗に勝ち上がってきたチームナンバー19になりますっ!! みんな拍手ぅぅぅぅぅっ!!」


 セイナちゃんの軽やかな声で、僕らチームの紹介が個人別に為された。元老院は僕らを敵視しているようだが、グラウンドを取り巻く観客席からはかなりの声援が降ってきている。


 ふとスタンドの方に目をやると、そこかしこにメイド服らしきコスプレをした人たちが見て取れるけど、もしかして僕たちのファン的な感じなのだろうか。正直ちょっと嬉しい。


「見ろ相棒、相手は『C-ブランド』の奴らじゃねえか」


 少し浮かれ気分の僕を尻目に、アオナギは厳しい視線を相手チームに向けていた。その言葉に丸男も目をやる。


「やや!! でもよぉ、こりゃあ、もらったんじゃねえか? 見たことねえ面子だぜ。正規メンじゃねえ」


 まだ巨大な幕に覆われた謎の設備の前に待機していたのは、揃いの薄茶のブレザーに赤基調のチェックのミニスカートを身につけた、三人の女の子たちだった。


「チャイドル-ブランド」。遥か以前にアオナギから説明されたが、「ドジっ娘」から半歩ダメに踏み込んだ絶妙の「合法ダメロリ」を標榜する「お兄ちゃん系」最大派閥のアイドルグループとのこと。


 まったくもって理解は不能だが、人気はそこそこあるようだ。スタンドのあちこちから野太いコールが切れ目なくかかっているよ。しかしアオナギの危惧していたことは、相手がアイドルだということでは無かったわけで。


「やつら元老院だぜ」


「!!」


 元老院というからには、もっと年老いた感のある面子と思っていたが、確かにそうでなきゃいけない理由は無い。何てこった。やっぱり敵は本気で来ているっ……!! 浮ついている場合じゃないぞ。


「……」


 改めて真剣に相手チームのコらを見据えるが、先ほどから仲間同士できゃっきゃきゃっきゃやってる……何というか緊張感はあまり無いようだ。それとも余裕ってことか? 僕らを捻るくらい。


「……対するぅーっ、5組優勝チーム!! チームナンバー33のメンバーを紹介しちゃうよっ!!」


 セイナちゃんがオーバーな振りで、相手の三人娘たちを手で指し示す。と、ひときわ野太い歓声が沸き、どこから照射しているのか、まばゆいスポットライトがそのコたちに当てられた。おい!! 待遇っ!!


「……まずは元老ナンバー16っ、ふんわり系レジェンド、メゴ=マコちゃんだぁ!!」


 元老ナンバーて。そしてもはや元老院発なことは隠そうともしないのかー。


 メゴ=マコと呼ばれた三人の中でいちばんちっこいショートカットのコがくるりとターンを決め、右手人差し指中指をぴっと伸ばし、その指先を口許に持っていってのキメポーズ。アイドルしてるなあ。僕は戦いの場であることも忘れ、素直に感心してしまう。


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