ストレートと変化球を使い分けて様々な異世界を描いてきたコーチャー先生の作品中、後者の特徴がよく出た短編。
舞台は異世界から転移させられた勇者たちによって救われた世界。
だがその功績によって奢る彼らは自分たちの世界に帰ろうとはせず居座り続け、人を人とも思わぬ所業を続けていた。
そのうちの一人の凶刃が無辜の少女へと振り下ろされようとした時、ある男が立ち上がる。
果たして無敵の勇者を相手にした彼の対抗手段とは? そして彼は果たして何者なのか?
最後にもたらされるその答えこそが、本作の根本だと思います。
ネットの波を跳梁跋扈する異世界転生物に一石を投じる挑戦作。
不謹慎ながらも、よくぞやってくれたとさえ思える爽快な一作です。