超能力者の寝起き
ソーヘー
予知夢を回避せよ‼︎
チリリリリリリリリリン‼︎チリリリリリリリリリ‼︎
「もう朝か...起きなくちゃな」
カチッ‼︎
俺は目覚まし時計を止めると、まだ眠い目をこすりながら目覚まし時計の時間を見た。
「まだ8時か、二度寝しよ」
そう言うと、俺はまた布団へと入った。
「起きなさい‼︎起きなさい‼︎」
ん...誰かが俺を起こしてる?まさかな。俺は一人暮らしなんだし気のせいだろ。
「いつまで寝ているの?起きなさいってば‼︎」
いや...気のせいなんかじゃない。たしかに誰かが俺を起こしている。だとしたら一体誰が?
俺はうっすらと目を開けると、そこには一人の少女がいた。
「やっと起きたわね」
「...どちら様で?」
「私のことなんてどうだっていいわ。それよりも、周りを見て」
「周り...はっ‼︎なんだこれは⁉︎」
彼女に言われるがまま周りを見てみると、そこには先程まで寝ていたはずの自分の住むアパートも、周辺の住宅も全てなくなっていた。あるのは布団と目覚まし時計だけだった。
「どういう事だよ⁉︎」
「はぁ...まだ分からないの?」
彼女は呆れたようにため息をついた。
「あなた超能力者よね?」
「なんでそれを⁉︎」
「だったら話は早いわ、あなたは寝ている間に超能力を暴発してしまった...その結果がこれよ」
俺は今のこの状況を理解した。彼女の言うとおり俺は超能力者だ。普段はこの強力な力を制御できているが、唯一寝ている間だけは制御できない。この膨大な力を制御できないともなると、それはまさに兵器だ。
「俺のせいで...クソッ‼︎二度寝なんてしなければこんなことには‼︎」
「まだ間に合うわ」
「えっ?」
絶望している俺に、彼女は希望を提示した。
「正確には、まだ起きてはいないの。今いるこの世界は起きる可能性...いわば予知夢ってやつね」
「予知夢...だと」
予知夢...それは超能力者が稀に見る夢で、ほとんどの場合は予知夢は現実でも起こる。ただし、予知夢は回避できないわけではない。
あくまで未来の可能性だ。起こることが分かっているなら、回避することだってできるはず‼︎
俺はこれが予知夢だとわかると、彼女に抱いていた疑問が更に増えた。
「これが予知夢だとすると、なぜ君は俺の夢に干渉できるんだ?それに俺が超能力者だということもなぜ...君は一体何者なんだ?」
俺ら目の前にいる彼女に疑問をぶつけた。
すると、いきなり彼女は腹を抱えて笑いだした。
やがて彼女は笑いを抑えて俺に答えた。
「そんなの、私も超能力者だからに決まっているじゃない。人の夢に干渉するのなんて超能力者なら簡単でしょう?それは予知夢だって例外じゃないわ。今、私は世界のどこかであなたと同じ夢を見ているってこと」
彼女は話を終えると、目覚まし時計の時間を確認した。
「まずいわ‼︎あと数分もすれば超能力の暴発が起きてしまう‼︎それまでにこの夢から脱出するわ!」
「わかってるよ‼︎目覚めろおぉぉぉぉぉ‼︎」
目が覚めると、そこはいつもと変わらない自分の家だ。窓を開けても、住宅地が辺りに広がっている見慣れた景色。目覚まし時計の時間を確認したが、二度寝してからまだ数十分ぐらいしか経っていなかった。
だけどなんだか濃い夢だったな...
超能力者の寝起き ソーヘー @soheisousou
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