僕は異世界モノが嫌いだ。
しかし、この作品は純粋にコメディとして楽しめる魅力があった。
コメディとホラーはよく似ていると言われるが、その理由はどちらも「裏切り」と「間」が重要だと言う点で共通しているからだ。
この作品はどちらをとっても優秀な構成をしており、コメディのお約束を踏襲しつつ、異世界の要素を加えられており、舞台が異世界であることが無駄になっていない。
ただ作中「……」が多用されているシーンがあり、少し意図が読み取り辛かった。
人間は意味もなく黙ることはないので、沈黙には必ず意図がある。
例えば「Aは唇をきつく噛み締めて押し黙った」と書かれていれば、Aは悔しさや怒りを感じていることがわかる。沈黙を表現する際は三点リーダーより、なぜ黙っているのかを記述することを意識したほうがいいかもしれない。
作品としては面白く、楽しめるものだった。最後のオチまでしっかり考えられていたので、読後感もさっぱりしている。
執筆お疲れ様でした。