「あれはなんだってんだ!」「あいつは……」

「すみません、モーガンさん、お時間いいですか」


二人はモーガンへここまでの調査の途中報告をする。

モーガンは調査報告を聞けば、頷き感心するのだった。


「ふむふむ、やっぱり動物の仕業か、君達ならやれるかい?」


「もちろんですよ、任せてくださいって!」


アルバートは胸をどんと叩き自信に満ちた表情で答えた。


「動物の多くは群れを成します、敵の数次第で別の冒険者を雇う事をお勧めする

という事も考えておいていただけると、勿論、僕らも僕らで全力を尽くします」


エドモンドはアルバートとは違い、別の案を出すのであった。


「ふむふむ、アルバート君のやる気もわかったし、エドモンド君の意見もしっかり覚えておくよ、昼からも見張りを頼むよ。」


モーガンの言葉を聞いた後、昼食を取って、二人は放牧場へと戻る。

するとそこには、見事に罠にかかり絶命させた山羊を咥えて逃げようとするのを

阻止された2mを超えるトカゲがかかっていたのだった。


「あー! エド、魔物だ! 魔物がかかってるぜ! あれはなんだってんだ!」


「ビンゴって所か、あいつは……ジャイアントリザードだ取り立てて危険な技は無いけど、あいつは……」


「一体だけだし、罠にかかってるんだ、ここで倒しちまうぜ! 全力だ!」


アルバートは罠にかかったジャイアントリザードへと駆け出し。

腰に差した剣で一刀両断しようと振りかぶる。

彼の剣は剛剣、大きく振りかぶり、その重たい一撃で敵を倒すものだ。

その名も【全力攻撃】事実、その攻撃はトカゲを瀕死へと追い込むのだが……


「あの馬鹿ッ……確かに取り立てて危険な技は無いといった、だけどな」


それを言い切る前に、アルバートの前にはもう二体、ジャイアントリザードが迫るのだった。彼らジャイアントリザードの一番の特徴、それは常に群れで行動する事

たとえ、単体でいるからといって侮れば今のアルバートのように囲まれるといったものだ。


「っげぇー! 伏兵かよ! ぐはっ!」


突如現れた、ジャイアントリザードの強烈な尾から繰り出される強打がアルバートを襲う。アルバートの全力攻撃は攻撃をした後の大きな隙が弱点だ。幸いにも一体はトラバサミ足を獲られ攻撃をしなかったがそれも今は罠から抜け出してしまい

アルバートへと向き直る、次は攻撃をしようと構える。


「今、治療する。ザス・ゼガロ・オン。グラド・イーア———アルスメディカ」


エドモンドが手のひらをアーバルトにかざし詠唱を行えば、傷が癒されていく。

操霊魔法と呼ばれる魔法の一つ。大地の活力を用いて味方の傷を癒す魔法。

【アース・ヒール】先ほどの詠唱は魔法文明語と呼ばれる。

エドモンドが生きている今の時代から何千年も昔に生まれた言語だ


「っさ、冷静に一体ずつ倒していこう、傷は完全には癒せてないから無茶するな」


「了解だ、まずは瀕死のお前からだっ!」


トラバサミから抜け出したのも束の間、アルバートが突き出した剣に一体が貫かれる。仲間の仇を取らんと、更に尾で攻撃をしようと試みるが。


「っけ、そんな攻撃にあたってたまるかっての!」


アルバートは体を捩じり、その攻撃を避ける。【全力攻撃】さえしていなければ。ジャイアントリザードの攻撃ならば避けれるのは彼の才能と努力の結果だろう。


「その調子だ、これで傷も癒えるだろう、全力で殴っていけ!」


アルバートは残った傷に対しても【アースヒール】を使っていく。


「っしゃー! よくもやりやがったな、トカゲ共! 反撃だ!」


その後は一方的であった、アルバートが攻撃をし、ダメージを受ければエドモンドが回復するといった感じで、危なげなく初めての戦闘で勝利を収めるのであった。


「よっしゃ! これで最後だ、エド、周りに他の敵影は?」


最後のジャイアントリザードが地に沈む。


「見えない、この三匹で一つの群れだったんだろうね。一度、報告に戻ろう」


「おっと、ちょい待ち、こいつらから何か……ないな、ちょっと傷つけすぎたな」


ジャイアントリザードの個体には上質な鱗を持つ個体もおり、腕の良い職人であれば、その鱗で防具が作れる、その為、そういった鱗はそこそこのガメルになるのだが。今回のジャイアントリザードにはそれはなかった。


「死体処理は燃やすのか土葬なのかも聞かないとだし、ほら行くよ」


エドモンドが先を歩けば、アルバートもそれに続く、二人して別作業をするモーガンさんの所につき、魔物を始末したことを説明すれば。


「ジャイアントリザードか、ふむ……3匹で終わりだと思うかい?」


「現時点では不明です、ただ、彼らは群れで行動しますので、別の群れがいるという可能性は0ではありません、期日までは見張りをしますそれが終わってから被害がまだ増えるのでしたら、またご依頼下さい」


「ふむ、では、その予定で頼むよ。夕方、山羊を入れるまでは見張りを頼む」


「夜に襲い掛かってくるってのはないのか?」


アルバートの疑問は至極もっともであるが。

エドモンドはそれは心配いらないと説明と解説を交えて話し始める


「ジャイアントリザードは夜目は効かないし確率は低いと思う」


「エドがそう思うなら、俺から言うことは無い、期日までばっちり、山羊の平和は守ってやるぜ!」


「ジャイアントリザードの死体の方は燃やしてしまっても? それと山羊も一頭だけ被害を出してしまいました。こちらについては申し訳ございません」


「いや、構わないよ、君達が止めていなければ、もっと被害は増えていただろう

ジャイアントリザードの死体処理は任せる、山羊については、今日の夕飯にしてしまおうか、山羊肉のステーキを楽しみにしててくれ」


「そいつはいい事を聞いたな! 見張りに戻ろうぜ、ついでに腹も空かせよう!」


外に出ていくアーバルトに、現金な奴だとこぼしながら、エドモンド自身も山羊肉のステーキを楽しみにしつつ仕事へと戻ることにしたのだった。

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