よい子のギャングスタ童話

赤首山賊

その1 桃Vato


※ふてきせつだと思われる言葉には×印を付けています。よい子のみんなはそこに注意して読んでね!



 むかしむかしあるゲットーに、メキシカンのおGギャングさんと彼の売女ビッチがいました。


 ある日おGさんは隣のブロックへヤクの取引でヘマをやらかしたツケ払いとしてしばかれに、売女は通りへ身体を売りに出かけました。おGさんはバッドトリップを回避するために今日はまりふぁなを吸っていませんでした。


 売女がすとりーとで現ナマをたくさん持った富豪に目を光らせていると、隣のブロックからdon-di-di-dong、don-di-di-dongと、おおきな桃色のローライダーがながれて来ました。

 売女はおお喜びでそのローライダーをパクると、おうちに持ち帰りました。ボコボコにシバかれたおGさんが帰還し、そのローライダーを見ると彼は、


「こんな上等なローライダーだ。上モンのドープや使える武器が隠してあるに違いねえ」


 と言い、シートの下やトランクを探り始めるとトランクの中で手足を縛られたガタイのいいメキシカンのクソガキが見つかりました。


「ホワッツアップ××、アイムマザフ××キンギャングスターユーノーワライムセーン?(日本語に訳して、悪い人たちに縛られちゃいました!助けてください!)」


 おGさんはナイフで彼を縛るロープを切り、おGさんと売女はこの子を育てることにしました。桃のようなローライダーからうまれたのでおGさんはその子を、


「こいつの名前はエリックだ」


 桃に男、野郎を意味するラテン語をつけて、“桃Vato”と名付けました。


 そして桃Vatoがおおきくなる頃、ゲットーではサツのガサ入れが多くなり、ギャング達はたくさん検挙されました。すると桃Vatoは、


「サツを皆殺しにする。AK47で奴らを蜂の巣にしてムショに行くぜ。Yoババア、俺に隠して栽培してるガンジャを袋に詰めてよこせ」


 おGさんは態度の悪い桃Vatoをはんごろしにしました。しかし桃Vatoはあきらめません。そして根負けしたおGさんと売女は彼の言うとおり、粉ガンジャを袋詰めしました。


 桃Vatoが警察署へ向けてローライダーをホッピングさせながら走らせていると、三人組のギャング達がメンチを切ってきました。


「何してんだ××、殺すぞ!!」

「おい、あいつなんかいいブツ持ってんぜ」

「ちょうちょがみえりゅ〜」


 そのうちの一人はヤクをキメていました。


 フレンドリーに話しかけてくる三人に、ローライダーを停車させて桃Vatoは言いました。


「ホワッツアップG、ドントフ××クウィズミーユープートー!(日本語に訳すと、何してるんだい君達?)」


 そう応える桃VatoにCrazy Doggと名乗る痩せ気味の、LAラムズのキャップを被ったギャングの一人がけんじゅうを突き付けながら近づいてきました。


「いいブツを腰に下げてんじゃねえかメキシカン、断ったらこいつをテメエのドタマにぶち込むが俺らに少し巻いてくださいな」


 それに対して桃Vatoは、


「そんな物騒な物おろせよ×××。これからサツを狩りに行くんだ。加勢するならジョイントを巻いてやってもいい」


 するとCrazy Doggは


「サツを狩りに?お前イカれてるぜ!でも上等なガンジャ吸いてえしおもしれーヤツだな!オラ助太刀すっぞ!」


 と言い、Crazy Doggと彼に付和雷同したMC Gorillaと名乗るガタイのいいもう一人のギャングは桃Vatoの家来になる事をキメ、巻いてもらったガンジャを三人で吸いました。

 三人はすっかりハイになり、幻覚を見ているヤク中がめんどうだったので置き去りにしました。


 桃Vatoがファンキーなギャングスタラップを流しながらハイウェイを走っていると、あっという間に警察署に到着しました。


 桃Vato達は警備員や中のオマワリ達に銃をぶっ放し、すとりーとで磨いた射撃の腕を活かしてほぼかいめつじょうたいにさせました。このはげしい銃撃戦は2時間ほど続きました。


 桃Vato達は所長の部屋に乗り込み、じまんのAK47を所長に突き付けて言いました。


「よう、腰抜けプートー。お前がクソ漏らしながらガクガク震えて詫びるなら腕の一本くらい貰うが命は助けてやる」


 桃Vatoは優しい心を持った青年です!そんな彼の後ろでCrazy DoggとMC Gorillaはメンチを切っていました。それに対して所長は、


「私はこう見えて実はヒップホップのファンでね。家でこっそり隠れて聴いているんだ」

「最近は何を聴いてるんだ?」

「もちろんN.W.Aさ」


 そして桃Vatoを始めとするギャング達はこいつはマジモンの白××だぜとかんしんしました。そして所長は言いました。


「ここは1つ、ラップバトルでケリを付けないか?もし君が勝てば部下が捕まえた君の仲間達を恩赦として釈放しよう」


 提案を飲んだ桃Vatoはアツいライムを所長にカマし、所長はとうとう降参してしまいました。


 そして所長は横領したコカインや現ナマ、マリファナを桃Vatoたちに差しだし、仲間を一斉に釈放するよう指示すると誓いました。もちろん嘘をついた時には蜂の巣です。


 桃Vatoと愉快な仲間達は所長からゲトったガンジャを吸ってすっかりハイになりました。そして残ったコカインをブラックマーケットで捌き、大金を得た彼らは豪邸を建ててたくさんの美女をはべらかせ、死ぬまで毎日ガンジャを吸ってくらしましたとさ。めでたshit。めでたshit。




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