第3話 到着の先にあるものは
運転手は右手を軽く上げたが護送車の人は敬礼のような、手を上げる仕草をしていた。これだけでも見れたのは大きいだろう。この人は、いやこの人たちは警察に関わりがあるだろうし。もしかしたらそれよりも上の地位にいるのかもしれない。
「もう少しで着きますよ」
「...はい」
反応が一瞬遅れて「しまった」と思う。
それなりのカーブを曲がると車はトンネルに入り「カチ」っというライトを付ける音が微かに聞こえてきた。トンネルはそこまで長くもないし短くもなっかたけれど抜けた右手には広大な海が広がっており18時前後の夜空もいい雰囲気を出していた。
「きれいでしょう?」
「...そうですね。驚きましたこんな景色が見れるなんて」
先に言っておいてほしかったと海から視線を外す。ていうか今から行く施設からもこの海は見れるのだろうか。少し期待が膨らむけれど押し殺す自分もいる。そもそもとして今から行く施設はまっとうなものではなく大人の恐怖心と自衛目的など、そのような大人の都合で造られた研究施設。まともであるはずがない。けれどそれも仕方のないことなのだろう。なぜなら私たちがアニメや小説に出てくるような力を持っているのだから。
「あ、もう着くので外していいですよ」
「(着く?...あぁ).....分かりました」
少し言葉を理解するのに時間がかかってしまった。けど仕方のないことだと思う。なぜならこの道は直線でその先は大きな山なのだから。
車を山の前に止めると運転手は平然と降りて壁に向かて何かをやっていた。体が邪魔でしっかりとは見えないがここの関係者であることを証明しているのだとおもう。
すると運転手がこちらに振り向く前に山の一部だったところが自動ドアのようにスムーズに開いた。
「ぇー、すごい」
最初から人目につかない場所だということはある程度は分かっていたけれどまさか山の中だとは。しかもめっちゃ改造っていうか、何て言っていいかわからないけど中をくり抜いて要塞みたいにしているし。まるで映画を見ているようだった。
山の中に入った車と私たちはすぐに停車した。まあその先は壁になっているようだし進めるわけもないのだが。
と、思っていると車が、体が上昇していく感覚になった。
「え...」
さすがに声が出てしまうが運転手は特に驚いた声も出してないしただ正面だけを向いていた。まあ関係者であるのだから知っていて当然なのだが。
「ぅっ...」
真っ黒だった正面は扉になっていたらしく眩しい光が射し込んできて思わず左手で視界を遮ってしまう。
「ああ、明るいですからね。目を瞑っていてもいいですよ」
瞑りたいのはやまやまだが施設内で見れるところは見ておきたい。次にいつ見れるかわからないし。けれど黒からの明かりはなかなかにつらい。この人は辛くないのだろうか。と、思ったが意外とすぐに慣れた。
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