地獄

 死ぬ。

 誰もが死ぬ。

 首を刺された瞬間か、死ぬにも死ねぬ傷から血を流し続けたからか。


 死ぬ、誰もが死ぬ。




 突如、各種族の代表が今後について、といったお題目で集められた。

 目的は弱体化している魔族に対しての戦について、とのことだった。 


「時間も惜しい。エルフは知略を練り、ドワーフは武器を作り、人が攻める。よいか」


「良い分けねえだろ。……あ、俺は白狐枠なんで、よろ」


「勇者枠のサツキです。魔族の攻めがあるならともかく、我らは戦いません」


「人枠、アルです。え、なんで戦い続けるの? 教えてよ」


「楽しくモノが作れればいいのね。ああ、ドワーフかっこ仮代表です」




「ド低能が!!!」




 エルフの偉い人が声を荒上げ、テーブルを叩いた。

 あまりに非力だった。

 わざとらしいほどに、叩かれたテーブルは無傷だった。




「今こそ、今こそが! 魔族に怯える世界を創れる機会なのだ! それを、このような……」




「じゃあお前がまず死んどけ」



 ナユタの持ち得る、あらゆる技術を持ってエルフ代表を屠り続ける。

 しかしナユタは身動き一つせず、ただ目をつぶる。




「魔族を滅ぼしたら、お前を殺し続ける」



 ナユタは霊力を展開し、この場のすべてを殺し、そして生き返らせる。




「俺さ、嫁の為なら何でもやるから、よろしく」

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