幕間その3
ナナシー村いい所、是非観光に
帰省とか戦とか色々あった。
戦はキングダムクエストなので、かなりの報酬が国から渡されそうになったが、俺たちはその報酬を受け取らなかった。
使い切れない金なんか意味がない。
その金で少しでも復興に当ててくれと拒否をした。
現勇者も同じく受け取らないでくれた。
まあここで現勇者だけ報酬貰ってたら悪評になるだろうし。
しかしまあ、灰の村を出てテレポートで一気にサザー街へ戻ったら絶賛戦時下で。
とりあえず適当に俺たちはそれぞれ分散して援護に回った。
『魔神』だけは俺がどうにか止めないといけないので、それ以外適当にって感じで。
適当な指示。
だけどそれぞれ想いがあるのか、ナタリアもエンブリオもエミルも適切な場所へ救援に向かってくれた。
おかげで被害は多少は抑えられたと思う。
「ポークステーキ定食2皿できた! あとそろそろ秋刀魚が焼けるから5皿行くぞ!」
「了解。ていうか人数制限かけてるのになんでこんな忙しいの?」
「知るか!」
絶賛食堂で戦闘中。
何故だろう、人数制限変えてないのに何故か忙しい。
「いやナユタの料理、最近わりと凝ってるから。安い食堂のお手軽料理って設定どこ?」
そだね。焼き魚とか、普通に肉を焼くよりちょっと時間とか火加減大事だしね。
スープは朝に仕込めばいいんだが、それじゃちょっとなって新鮮な刻み白ネギを入れたり。
サラダも……いや止めよう。捌ききれないわけではないから、限界までがんばろう。
「のうハーヴェイ! この焼き魚、とても美味ぞ! なんという魚じゃ!?」
「秋刀魚ですね。海の幸です。我が国では口にすることは滅多にないですね」
「のうハーヴェイ……。その、美味しそうなお肉、一切れくれんか? もちろん魚と交換じゃ!」
「いいですよ。豚肉のステーキですね。味付けはもちろん豚肉特有の臭みを最小限の香辛料で抑えてあり、焼いた時の反りがないようきちんお切れ目があり、焼き加減も柔らかく絶品です」
「あーん」
「我が……、ガーネット様。そういうのはお控えください」
「余はただの旅行者で、そちはただ一緒に旅行しているダーリンって設定忘れたかえ?」
「ダーリンの部分だけ、今でもいいんで、変えていただきたく」
「あーん」
「……はい、どうぞ」
「うーん、美味! ここの料理人はさぞかし腕が立つと見える!」
どうしよ、目の前に魔神がいるんだけど。
あとそれに魔神が敬語使ってる、エミルより年下に見える女の子、絶対やばい。多分。
エミルも「鑑識眼」で二人の事を視たのだろう。
俺の袖をひっぱり首をこれでもかと横に振っている。
「ごちそうさまでした。『霊狐の弟子』 まことに美味であった。明日もくるぞ」
「あー、一応抽選性なので」
「そうか。ま、関係ないな! 余なら絶対当てるからのう!」
「……我が――、ガーネット様の『神位』は『都合の良い未来を手繰り寄せる』だ。明日も頼むぞ。我々が魔族なのを黙ってる事も含めて」
「何をぼさっとしておるハーヴェイ! この村は観光地として凄くいいと話題なのじゃ。色々巡ろうぞ! あと温泉もあるらしいぞ!?」
「あ、この村に温泉はないですよ……」
「そうなのか……。まあでもよい。どうせ『広い風呂のある宿に泊まれるじゃろ』」
「ということで、すまない『霊狐の弟子』 きっとこのままお前の家に泊まる事になる」
マジっすか。
ていうか、え?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます