ナユタの武器

「昔から疑問に思っておったのじゃが。『マルチウェポン』で出てくる武器、毎回変わっておらんか?」


 トレーニングがてら、俺はエンブリオと実戦程度の打ち合いをしていた。

 先の発言はエンブリオの体力を気絶寸前まで追い込んだあとの事だった、


「あー、俺の『マルチウェポン』って意外と繊細で、この武器よこせって明確にしないと、結構雑に出てくるんだわ」


 例えば『賢者』エミルと最初に模擬戦をした際は、取り回しの良い『対魔』付与された武器のうち思いついた限りで適当に引き出した。


「だから、俺が『大剣』って雑に引き出すと、収納している大剣のうちランダムででてくるんだわ」


 先の例で言えば、対魔の大剣とイメージすれば引き出せる武器も絞れる。

 だがあまり普段、ピンポイントで必要な武器を引き出す事がないので、常々適当に引き出しているだけだ。


「国宝級の武器を複数作っているのは知っておったが、同系統の武器を量産しているのか!?」


「そりゃ、相手が近接特化とか遠距離特化とかバランス型とか、対面して準備不足がないようにはしてるぞ? あらゆるケースを想定して武器作って『マルチウェポン』に収納してる」


「チート小僧、まさに野に放ってはいけない類の部類じゃ。所で、その『マルチウェポン』に収納している武器を仲間に渡すことはできるのか?」


「大体10分程度なら貸し出せる。『マルチウェポン』の能力か制限か、俺の手を離れた途端、そっから10分程度で『マルチウェポン』に収納される」


 だから容赦なく『マルチウェポン』の武器を投擲に使えるんだが。


「国宝級のレベルの武器を、ナタリアには剣を、わしに斧を貸し出したら、10分もかからずクエストがクリアできてしまうな」


「なるほど? そこらの連携もナタリア含めて意思疎通しておこうか」


 どのタイミングで俺の武器を譲渡するか。その譲渡期間が過ぎた際に自身の武器に切り替える判断力が求められる。


「よし、明日からのトレーニングはそこらも踏まえて、ナタリアも強制参加させる!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る