英雄が勇者パーティに入った理由

「色々と合点が言ったわ。確かにナユタは『英雄』なのね。最初あんたがそう持て囃されていたの理解出来なかったけど、そういう事だったのね」


「冒険者としてギルド登録した際に発覚してな。しかも担当が新人だから、きゃーきゃーと周りに吹聴してな。苦労したわー。まあ、当時12のガキと新人受付嬢の話だから眉唾扱いになってくれてたんだが」


「しかしナユタはその才覚を隠すことなく、駆け出し冒険者には到底クリアできない高難易度クエストをクリアしまくっておったから、噂に尾鰭がついてしまってのう」


「それでエンブリオがナユタを保護したってこと?」


 ああ、そいや俺とエンブリオが旧知の仲っぽいこと話したっけ。


「うーん、どうなんじゃろ」


「どうなんかね」


「いや誤魔化さないでよ」


「いや俺はいうて当時は駆け出しのFランク初心者だぜ? 受けられるクエストはちゃっちいのばっか。手ごたえ無いからもっと強いクエスト受けたいってガキの俺が考えても普通じゃん?」


「わしも当時Bランクだがそこそこのパーティのリーダーだったし、あわよくばその化け物ルーキーを仲間に入れて楽したかっただけじゃ」


 パーティメンバーのランクが低くても、それをリーダーが補えるランクと実績があれば問題なく相応の難易度クエストを受注できる。

 そういう言う意味では何百年も冒険者をしてたエンブリオ率いるパーティは都合がよかった。


「「つまり、ウィンウィン!!」」


「はあ、バカらし」


「まあ、といっても実質ナユタがほぼ1人でクエスト攻略するから、1週間もしないでリーダーの地位を取られてしもうてな」


「おいちょっと、それでいいのかパーティリーダー」


「そりゃあただの若造なら悔しくもあるが『英雄』で『マルチウェポン』のナユタじゃぞ?」


「むしろ当然の結果かあー」


 ぽっちゃりエルフは額をたたきながら笑ってた。美人の謎顔芸に気持ち悪さを覚える。


「とはいえ、若造は若造じゃ。1人でなんでもできる故にパーティのなんたるかを知らんでなあ」


「おいやめろ恥ずかしいから」


 思春期特有のあるあるな恥ずかしい過去は俺にだっていくつかあるんだよ。


「まあ結局ナユタについていけず、パーティメンバーはわし以外抜けてしまっての。ちなみにパーティ崩壊はナユタがリーダーになって一週間じゃ」


「早すぎ!!」


「それ以来、パーティという形かは怪しいがわしとナユタのコンビ、人手がいればパーティに所属していない冒険者を雇って、程よく楽で稼げる暮らしをしてたのじゃ」


「しっかし話てみると懐かしいなあ。あのクソ勇者に会うまでは結構楽しかったのに」


「わしもそう思う。まあ懐は暖かいので結果オーライじゃのぉ」


「聞いても良いかわかんないけど、なんで勇者のパーティに入ったのよ」


「面白そうだったから」

「楽に稼げそうだからじゃな」


「返して、私が必死で勇者パーティに入るまでの努力を!」

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