マルチウェポン

『マルチウェポン』


 複数の武器を異空間に収納し、必要な分だけ引き出すスキルだ。


 俺の場合。


短剣

ショートソード

ソード

ロングソード

大剣

投槍

ショートランス

ロングランス

薙刀

小太刀

太刀

大太刀

投斧

ショートアックス

大斧

大鎌

ロングアロー


 当然、武器を扱えるだけでスキルはそれぞれ取得しなければならない。

 しかしスキルは専門職のクラスに付かないと得られない。

 俺は『マルチウェポン』に収納している装備とは無関係のクラスについているのでスキルは共通スキルしか使えない。


 ま、器用貧乏って奴だ。


 俺はスキル『索敵』を行使し魔獣の位置を探る。

 思ったより村から離れており、しかも団体行動をしている。

 護衛兵は数十分で村に来ると言っていたが村を襲う気がない?

 いやそれは楽観的な考えだ。


 俺は『加速』を使い、魔獣を追いかける。

 数分の後、俺は魔獣の射程に入る。


『ロングアロー』


 俺は超長距離用の矢を装備し、『加速』したまま最後尾の魔獣を射る。

 急所に当たったのか一発で一匹しとめられた。


 この距離なら『探索』で相手の数がわかる。

 先程狩った1匹を除いてあと14匹か。


 『加速』し続けているので魔獣との距離はさら縮まっている。

 ロングアローをしまい、右手に投斧、左手に投槍を装備する。


 『索敵』の副次効果で対象に近づけば近づくほど『俺の視力より厳密に視認できる』効果が発動した。

 俺は両手の斧と槍を投げ、2匹撃破する。

 

 『加速』『索敵』は常に行使している。

 よって、魔獣の群れと俺の間合いは近距離となっている。


『大鎌』


 両手でやっと扱える程度に大きな鎌を携える。


「悪く思うなよ」


 俺は大鎌で周囲を一薙ぎした。

 周囲全てを刈り取るので、味方がいると使えないというデメリットがあるが今なら問題ない。


 『索敵』に反応なし。

 どうやら大鎌ですべて屠れたようだ。


「よし、帰るか」


 これで水洗トイレ確定。ちょろいな。




「やっぱナユタのほうが勇者なのでは? もしくは化け物?」


「否定してやりたいが、さすがにのう」


 エンブリオとナタリアはナユタの戦いを見て冷や汗をかく。


 本当ならナユタの助けに入るつもりだったが、逆に足を引っ張ると思い二人はただ傍観をするしかなった。

 ワーウルフ十五体の群れ自体で災害レベルだ。

 それが近隣を襲うでなく逃げるように他所に移ってる時点で異常だった。

 理由は元勇者のパーティだった三人がいる事。本能的に逃げるを選択したのだろう。


 しかし最大の誤算は己の危険性だ。

 他の種族ならあわよくば見逃されていたかもしれない。

 けれど災害レベルとなれば、例え尻尾巻いて逃げてもどうしようもないのだ。

 危険だと相手に思われてしまえば、後は強者に屠られる。

 弱肉強食といわんばかりの蹂躙にいたっても致し方ない。


「ナユタって……ほんとなんなのかしらねえ」


「ナユタはナユタじゃろ。ただの化け物みたいに強いガキじゃ」


 ナユタと同じく元勇者パーティの二人はそれぞれの想いを胸に村へ戻った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る