なみだ

現実さみしさから逃れたくて、私は涙を流す。


涙が乾けば、現実さみしさが流された跡を探してしまう。


何百リットルの涙。

何千リットルの涙。


いっそ海を覆い尽くすほどの涙を流し、悲しみに暮れても、現実さみしさは静かにそこにある。


ただ静かにそこにある。


馬鹿な私。

あなたに恋をしているなんて、気付くのが遅すぎた。

自分でも気づかないくらい、あまりにもあなたがいるのが当たり前になっていた。


もうあなたの心は私にはないというのに。


ため息交じりに私はまた涙をこぼす。

地面に落ちるはずの雫が一度だけ、道端のリナリアに弾かれ、こぼれおちた。

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