とまどい

私が大好きな真紅のカトレアの花束を腕いっぱいに抱いて

あなたは微笑みながら駆け寄ってくる。


戸惑う私の許へ。


あなたは私の中の彼のことまで愛したいのだと、囁いてくれる。


いつかあなたの感情に包まれることが、心地よいと思えるのかな……。


不安な私をおいて、あなたはどんどん走っていく。

あなたはどんどん私に近づいてくる。


私の心を置き去りに、あなただけが先に行く。

私はまだ立ちすくんだままだというのに。


私は困って、いつもよりも少しだけ唇の端をあげてみた。

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