君の虜
紫斬武
君の虜
可愛い、可愛い、可愛い、世界で一番可愛い、俺の幼馴染。
顔も、性格も、話し方も、全てが可愛く俺にとったら彼女は地上に咲いた一輪の花、いや地上に舞い降りた天使で絶対的に守る対象で、恋い焦がれる相手。
幼馴染の名前は、
彼女との出会いは、幼稚園の頃。隣に引っ越して来た彼女の両親と彼女が挨拶に来た時だ。恥ずかしそうな彼女がはにかむ天使な微笑みを俺に向け、それを見た俺の頭には天使の鐘が鳴り響いた。
俺が守らなければ!と決意したのは今でも覚えている。
可愛い彼女の、可愛い我が儘を俺はいつでも叶える為に、何気ない一言も一字一句逃さず聞いている。
どんなお願いも、彼女の笑顔、その最高の瞬間の為に俺は努力を惜しまない。
「
嗚呼、お前の為なら女装でも何でもしてやるよ!
彼女のお願いに、母さんに女の子の服をくれと言ったら病院に連れてかれた。いや、俺は女装趣味がある訳じゃなく、百合のお願いなんだ!と力説しまくったら、取り敢えず納得はしたらしい、理解ある母親だ。
「真ちゃん、真ちゃん、戦う女の子って格好良いね!真ちゃんも強い?強い人好き!」
嗚呼、お前の為になら強くなる!
母さんに空手、剣道、合気道、柔道と習い事を頼んだ。それには母親も全面協力だった、女装趣味が無くなったと、母さん、だから女装趣味じゃなく百合のお願いなんだ!そこは違えないでくれ!納得してたんじゃなかったのか!?
「最近ね、眼鏡姿が格好良いなぁって、ドラマ見てたら思ったんだ。真ちゃんは目が良い?」
嗚呼、両目共に2.0だ!けどお前の為なら眼鏡もかける!
母さんに眼鏡を買ってくれと言ったら、何でと言われた。百合の為だと力説したら何も言わずにお年玉で買えと言われた。だて眼鏡はいくらだろうか。
百合の可愛いお願いに、俺は毎回、毎回、応える。時には厨二病になり、時にはドSキャラになり、ドMになったりと。
そうすると、百合は最高の笑顔を俺に向けてくれる、この最高の瞬間を誰か越えられるか?いや、越えるなんて不可能だ、天変地異が起ころうとも不可能だ。
幼稚園、小学校、中学校、高校と、俺は百合と同じ道を進む。彼女の笑顔を見る為に、彼女の気持ちを掴む為に!
高校生になると、周りは恋愛脳一色。百合は可愛く、色んな男の色目を受けている。嗚呼、解る。そうだよな、百合は天使、神々しいまでのオーラを放っている、可愛いもんな?幼馴染として、誇らしい。
「真ちゃん、真ちゃん、不良っぽい人って、ちょっと憧れちゃうかも。真ちゃんは?」
嗚呼、お前の為なら不良でも何でもなってやるよ!
ただし、不良の定義がいまいち俺には解りづらく、一先ず髪をど金髪にしてみたり、口調を怖くしたりしてみたが、これであってるのか?母さんはそんな俺を見て、何も言わない。百合絡みだと理解しているようだった。
百合のお願いは直ぐに実行し、翌日には百合が憧れるであろう姿に変身。
朝、いつものように百合を迎えに行くと、俺の姿を見た百合が驚いた表情を見せた。な、何だ?これはまさか、違う不良スタイルか!?落ち込みそうになる俺に、百合が上目遣いで俺を見詰め、告げる。
「真ちゃん、いつも百合の我が儘聞いてくれて、ありがとう。百合ね、……真ちゃんが……」
百合の笑顔が俺にとっての最高の瞬間だった、それが越える事はないと思っていた。
けど、百合のあの言葉が、今までにないくらいの最高の瞬間だ!
君の虜 紫斬武 @kanazashi
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