3時


「そういえば亜希、さっきの話は??」


「ん?あぁ噂の話?」


一通りの作業を終え昼休憩から戻った時に僕は朝礼前に亜希が言っていた話題を思い出した。


「おぉ!?なんだなんだぁ!?噂だどぉ?」


「武ちゃんうるさい、前に武ちゃんが言ってた噂話だよ」


「あぁあれか!十字路の悪魔か!!」


「十字路の悪魔?」


「おうそうさ!えぇっとぉ…場所は忘れちまった!なんか一辺が空き地になってる十字路があってよ!そこに悪魔がいるって話だ!」


「南10条通りのどこかでしょ?」


「そうそれだ!!南10条らしい!見たことないけどなっ!」


「へぇ、そんな話全然見聞きしてなかったなぁ」


「武ちゃん前に一緒に行ってくれる言ってたよね!」


「そうだったっけか!?笑すっかり忘れてたっ!」


もー!っと不貞腐れる亜希を横目に僕は少し考え事をしていた。

僕は基本幽霊や宇宙人的な存在をあまり信じていない。信じていないと言うより、存在に興味が無い。

僕の生活に支障がなければ何でも自由にしててくれって感じだ。


「悪魔かぁ」


悪魔の話を聞いて少し昔のことを思い出していた。

僕がまだ幼い頃、僕の兄がまだ生きていた頃。兄には悪魔が見えるっ言ってたな。兄には妖とか幽霊の類が全般見えていたらしいけど、特に悪魔の説明は鮮明に、痛烈な程に覚えている。黒髪の長髪、凛とした目元とは対照的に柔らかく優しいシルエットの女性の悪魔。当時は兄の好みなだけだと思っていたけど、妙なリアルさを帯びていて特に印象に残ったのを覚えてる)


「……聞いてる?」


「うぉあ!?何!?なんの話し??」


「だから!今日のバイトの後に十字路を探しに行こうって話」


「あぁ、僕はパスしとくよ、このあと別のバイト」


「バイトかぁ、それじゃあ仕方ないかぁ」

「武ちゃんどうせ暇でしょ??行こ??」


「えぇー?俺もかっ!?いやだなぁ怖そうじゃん?」


「前に一緒に行くって言ったじゃんん!!」


「そうだけど…やだやだムリ!むりむりむりNo!」


「もう笑そんなに嫌がらなくてもいいじゃない笑」

「わかりました~私一人で行きます~」


「一人で行くのは危なくない?」


「大丈夫よ、バイト帰りに少し寄って探すだけだし」


「それならまぁ大丈夫か」


「それにしても武ちゃんがあんなに臆病とは…」


「確かにそれは僕も驚いた笑 武流怖いの苦手なのか」


「し!仕方ないだろ!!誰にでも弱点はあるっ!!」


「武ちゃんそこ威張れる所じゃないよ…?笑」

そんな日常会話で盛り上がっていたらいつの間にかもう終業の時間になった。

結局3人バラバラの帰路に着くことになったわけだけれど、武流も実は用事を思い出したと言って足早に帰っていった。

途中まで亜希と一緒に行き僕はバイト、亜希は噂の真相を調べに道を別れた

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