2時
僕はいつも通り朝の身支度を終え既に出勤しようとしていた。
「よっし、今日も一日頑張ろ」
「いってきまーす」
誰もいない部屋、僕は僕の部屋に向かって挨拶をするとゴミを持って自宅をあとにした。
「おはようございます」
「あら!おはよぉ、今日も朝から爽やかねぇ笑」
同じアパートに住む大谷(おおたに)さんだ、僕の母くらいの年齢の優しく接してくれるおばさん。
「うちの息子なんかあなたと同い年くらいなのにちっとも部屋から出ないのよォ?」
「あなたみたいに爽やかな子になって欲しかったのにぃ」
「僕は爽やかじゃないですよ笑 いってきます!」
「いってらっしゃあい!」
ゴミステーションにゴミを捨てネットを掛けて僕はその場を後にする。
職場は両方とも徒歩圏内なので普段自転車や車には乗る機会が無い。もちろん公共交通機関とも卒業以降縁がない。
歩くこと10分、会社を目の前にして急にサボりたくなる症候群が発病しそうだ…まぁ行くんだけど。
いやサボりたいなぁ…
「………おはよ?」
突然の横からの声に驚いた
「うへぅお!?あ、亜希(あき)、おはよ!」
気がつくと同じバイトの亜希が真横にいた、うん。結構真横だ。
「会社の目の前で何ぽけらーっとしてるのさ笑さっ早く行こ?」
相変わらず肉体的な距離感が掴めないオープンな性格の女の子だ、同い年らしいけど詳しく話は聞かない。でも結構仲が良い。
「今日も武ちゃん来ないのかな??」
「どうなんだろ、僕は最近連絡とってないからなぁ」
武ちゃんこと武流(たける)は同じくバイトの友達だ。ココ最近体調を崩したらしく休みが続いて心配なんだけれど、「めんどいから見舞いはいい!」と言って割と元気そうな返事を返された。高卒認定は貰ったと言い張っていたがそもそも高校中退するほど行き当たりばったりな奴だ。
基本的には僕と亜希ちゃんと武流の3人で話してたり作業してたりすることが多い。
「「おはようございます」」
亜希ちゃんとオフィスに入り2人で他の職員に挨拶回りをしてデスクに着く。
「そういえば聞いて聞いてっ!武ちゃんが休む前に2人で噂話聞いたんだけどさぁ?」
「ほぇーなになに?」
当たり障りのない日常、しかし災難や困難な事柄とは突如己の身に降りかかる。
バンッ!!!
「おっはよォうございまァァァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙すっ!!!」
激しく開けられたドアの音に驚いた瞬間大音量の挨拶がオフィスにこだまする。
「小林うるさいぞ!!」社員の一人が言う
「すぁいません!小林武流復活しました!!」
台風のような男が突撃してきた。
「武ちゃんげんきになったねぇ笑」
「武流うるさすぎ笑」
「おう!久しぶりじゃねぇかぁ!会いたかったぞ!」
ハイハイと2人で台風男にひと声かけた所でちょうど社員達もバイトも揃い朝礼を始めた。
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