第61話 『工場』 4
『あそこはまかせて、中央管制室に行きましょう。どうしても、コンピューターを最終的には、止められないんです。いま、彼らのボスを拘束しているので、コンピューターが、防御のため、自己停止していますが、まったく、返事もしないし、はっきり言って、この後、どう動くか、よくわからないんです。連中、自意識がありますが、長く停めてしまうと、人間とは違う自己判断に直結しかねないです。この施設の破壊とかもね。おとなりも含めて。でも、もしかして、副首相さんなら、なにかの、反応するかもしれない。』
となりのボスが、早足で歩きながら言った。
『通路に、昔の映画みたいな、おかしな仕掛けしたりしてませんか?』
わが、ボスである。
わざと、恐ろしそうに言っているが、ぼくは分かっていたが、彼女には、たぶん、そういう恐怖は無縁だ。
『ああ、バラバラに切断するとかですか。まあ、ぼくの知る限り、そうした仕組みはないですね。わが政府には、そこまでの余裕はないでしょう。』
と、隣のボス。
『確かに、政府のコンピューターとは、連携しているはずなので、なにかは、返事するかもしれませんな。あかんべー、とかね。』
副首相が応じた。
『それはそれで、分かりやすい意思表示ですな。』
宝田さんである。
この人は、本当に謎だ。
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その、マッド・サイエンティスト、とも呼ばれる人物は、元『純真インフレーション大学』教授の、今泉氏であることは、洞窟内での会話で、すでに分かっていた。
ドクター・ストレースとも呼ばれる。
『まずは、コンピューターをなんとかして、それから、ストレースに会うか、その逆かですな。どちらが良いでしょう?』
隣のボスが、副首相に確認した。
『ラインが止まってるなら、まず、元教授に会おう。面識はあるから。ただ、さっきの、気の毒なロボット人間たちは気になるが。』
『悪いですが、杖出さんとこの兵士は無敵ですからな。とっくに勝負は着いてるでしょ。』
宝田氏は、自信満々である。
『わかりました。じゃ、こちらへ。』
しかし、実際のところは、そう簡単には進まなかった。
前方から、また、改造された老人ロボットたちが、現れたのだ。
『どうやら、コンピューターが、指示を出してるな。すべて、お見通しのようですな。』
『あなたが、やったんでは?』
と、ぼくが、ちょっと嫌みを言った。
『まさか。ストレース君だよ。』
隣のボスが、真面目に答えた。
『あらま、じゃ、やっぱり、バラバラにする仕掛けもあるかも。』
でも、そんなことを言っている場合ではなかったのだ。
改造された老人ロボットが、目の前に迫った。
『ちょわ〰️〰️❗』
うちのボスが叫んだ。
な、なんだこの人は、と思ったが、攻撃してきた人間ロボットを、一体なぎ倒した。
『タルレジャ拳法師範。まりこ・アガーテ・末永・タルレジャ。それが、本名。』
『あなた、あの王家とつながりがあるのか?』
宝田氏が後ろに逃げながら尋ねた。
『遠い、親戚です。』
『はあ。』
しかし、残念ながら、反対側からも、改造人間が現れた。
すると、隣のボスが、倉庫からパイプ椅子を引っ張り出した。
『これが最高の防御&攻撃。』
ちょっと、重たいが、確かにこいつは役に立つ。
ある程度は、人間ロボット相手に闘えたのだ。
しかし、相手は、改造された老人とはいえ、やはり、強い。
しかも、だんだん、数が増えるのだ。
『宝田さん、おたくのロボットさんたちは?』
『いやあ、おかしいなあ。やられたかな。』
それは、さっきと、話が違うだろう。
ぼくは、なにか、強烈な一撃を受けた。
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