第10話 『老人収容所』その7

 バスは、かなりの速度で、右に左に何かをかわしながらつっぱしっていた。


 大体、どこを走ってるのかが、さっぱりわからない。


 目隠しされて、遊園地のジェットコースターに乗せられてるようなものだ。


 そのうち、バスの周囲で、どっかん、ぼっかんと何かがぶつかって来て、その都度衝撃が走る。


 乗ってる立場からすると、生きた心地がしない。


 もしかしたら、片方は、深い崖かも知れない。


『うぎゃー❗』


 『ぐぎゃー‼️』


  『どぎゃわー‼️』 


 と、老人たちが叫ぶ。


 若い人のような体の柔軟性や瞬発力はない。


 前の座席の、背中の手すりに、必死ですがり付いているのが、やっとである。


 で、ぼくのいやあな予感は的中するのだ。


 バスは、中空にまいあがった‼️


 きっと、そうだ。


 谷底か、はたまた海か?


 ぼくたちは、転落したのである。


 事故か、故意か、なにも 分からないまま、おしまいの時がやって来たのだ。


・・・・ ⛰️🚍⛰️ ・・・・


 

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