第十七話 円卓会議【001,002】
001.
僕たちは、無事にキャンプを終えて山を下っていた。
「いやあ。ほんとに自然の中でのんびり過ごすのもいいねぇ。」
秋月さんはそう言って伸びをした。
「本当、最高ね~。こうもなかなか休みの無い仕事をしていると、久しぶりの休みが凄くありがたく感じるのよね~。」
それは一瞬の出来事だった。
突如として僕たちの目の前に凄まじい轟音と共に大きな亀裂が出来た。
「まずい。このままだとあの亀裂に飲み込まれるぞ!」
「ルドルフさん!何なんですか、あれ?」
エレナがルドルフさんの方を見て叫ぶ。
「俺も知らねぇ。ただヤバそうだってことくらいはわかるな。」
「それはみんな知ってますって!!」
僕はその亀裂に見覚えがあった。
師匠のところで……
そうだ。この吸い込まれる感覚は、魔法屋から師匠のところに行くときに感じるものだ。
「みなさん!落ち着いてください!きっとこれはテレポート魔法の一つです!」
皆僕の方を振り返る。
「じゃあ、これには吸い込まれても大丈夫ってわけか?」
「大丈夫だとは確証できませんが、どちらにせよ抵抗しても無駄なんです!」
僕がそう言うと、皆覚悟を決めたように立つ。
「来るよ。みんなしっかりと隣の人の手を握って!」
茜音さんが叫んだ。
僕たちはその号令と同時に手を握って目を瞑る。
002.
僕たちはゆっくりと目を開ける。
そこは僕たちの予想に反し、豪華絢爛な場所であった。
誰かが近づいてくる。
僕は緊張の面持ちで、その人を見た。
「ス、スピカ。何してるの?」
僕が周囲を見渡すと、皆跪いている。
「え?何がどうなってるの?」
「スピカ、いいから跪いて。」
エレナが僕の袖を引っ張る。僕は慌てて跪いた。
「その者が、スピカとやらか。秋月よ。」
「はい。間違いございません。」
僕は混乱して跪きながら周囲を見渡す。
「そうかそうか。それは心強いな。かの魔導工学士の息子か。」
僕は何を言われているのかわからないまま、頭を下げ続ける。
「まあよい。モブの皆よ。急にすまないな、このような形で呼び出すこととなってしまって。ただ今は、緊急事態だ。すぐに全員、その服を着替えて、円卓会議に出席せよ。」
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