“ファンタジー”なのでしょうが、ホラーのようにも読めるし、伝奇のようでもあります。
悪夢のような、でもどこか可笑しくもある不思議な掌編です。
痛烈なオチを見せたり、見も凍るような恐怖を語ったりするわけではありません。
いや、怖いと思う方はいるかもしれませんが……
歪んだ郷愁、とでもいうのでしょうか。
寺で和尚の道楽(?)を手伝うこととなった主人公。
人の繋がりが濃い田舎のことでありながら、他人に胸の裡を明かさない主人公に、不思議な出会いが訪れます。
カクヨム3周年記念選手権に応募された短編で、「最高の目覚め」をお題に書かれた作品です。
作者さんには申し訳ないものの、決して万人受けする短編とは言い難いでしょう。
でも、独自の雰囲気は魅力的で、読後もいろいろと想像を膨らませてしまいます。
多くを語らず。
男の目は何を見るのか。
こういう話、好きなんですよ……。