放課後

 第一棟を出て、俺は後ろを振り返ってみた。


 入るとき、妙に威圧感を感じた建物だったが、なんてことはない。


 確かに見かけは立派だが、張りぼての、映画か芝居の書割みたいなものだ。


 威圧的な制服を着た、


『組織』の連中だって、妙にしょぼくれて見える。


『ああ、もしもし、馬さんかい?』


 建物を出るなり、俺は協力者に携帯をかけた。


『協力、感謝するよ。上手くいった。ああ、勿論、手当は倍増しだ。じゃ、また』


 俺がそう言って電話を切ると、


『あの・・・・やっぱり本当だったんですね?』と、俊の声がする。

 

 振り返ると3人が、まだ不安そうな顔をしていた。


 俺は黙ってポケットから探偵免許とバッジを翳してみせた。


『はばかりながらプロだぜ。俺は。料金分の仕事はきっちりこなさないと、飯は喰っていけない』


『探偵さん・・・・だったんですか?』


 俺は『首領』が記した一札を俊に見せ、ついでに名刺も渡した。

『こいつは君に渡しておくよ。お守り替わりにでもするといい。念のためにコピーを取って一通俺の所に送ってくれ。ああ、コピーは複数作っておくべきだな。原本はどこかにしまっておけばいい』


『あ、あの、僕たちはこれから・・・・』


 俊はおどおどした口調で俺に問いかけた。


『悪いがそれ以上のことは俺には分らんし関係はない。これから事務所に帰って依頼人に渡す報告書を作らにゃならんのでね。じゃ』


 俺はくるりと踵を返すと、学校の門を出て行った。


 そこにいた3人・・・・いや、3人ばかりではない。


 いつの間にか集まってきた3~40人ばかりの生徒が俺を見送ってくれた。


 門を出た俺は、そこで一つため息をつき、大きく伸びをした。


 やっぱり学校は好きになれない。

 

 二度とくるものか・・・・と思っても、多分また来るだろうな。

 

 仕事の依頼があればな。


 やれやれ・・・・。


                                  終わり


*)この物語はフィクションで、登場人物、その他全ては作者の想像の産物であります。


 



 

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NEO blackboard jungle 冷門 風之助  @yamato2673nippon

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