公爵令嬢 ティア・マクミラン は、貴族社会のしがらみから逃れるため、王都で占い師として生きていました。ある夜、社交界の有名人 ノア・ヴィスコッティ が彼女の店を訪れ、占い勝負を仕掛けます。彼は遊びのつもりでしたが、ティアの知性と占いの技術に強く惹かれ、彼女を追いかけ続けるようになります。最初は軽い駆け引きだった二人の関係が、やがて貴族社会の陰謀や戦争の影に巻き込まれていくのです。
ティアは、観察眼と機転を駆使して占いをする聡明な女性で、自由を求めつつも自身の運命に抗う姿が魅力的です。ノアは、飄々としながらも本質を見抜く策士で、彼女への興味が単なる遊びなのか本気なのかが読者を惹きつけます。彼らを支える執事の セバス や ヴィンセント、親友の ミランダ らも物語に彩りを加え、特に リスタン の登場がティアの立場を揺るがす転機となります。
知的な駆け引きと信頼の積み重ねが軸になっているロマンス要素もこの物語の魅力です。ノアの執拗な追跡にティアは戸惑いながらも次第に影響を受け、彼の真意を測りかねながら関係が深まっていきます。婚約の話にも策略が絡み、二人の距離感が絶妙なバランスで描かれます。
軽快なテンポとウィットに富んだ会話も良く、特に占いのシーンではティアの知性が際立ち、心理戦の緊張感が楽しめます。物語が進むにつれて、ティアの運命が貴族社会や戦争の動きと結びつき、スケールが広がっていく点も読み応えがあります。
ティアとノアの駆け引きを軸に、知的なやり取りと感情の揺らぎが絶妙に絡み合う、魅力的な物語。今後の展開がとても気になります。