第一学年の部
第1話『迫真廃部!文芸部を再建せよ』
……房総高校文芸部は廃部寸前である。
女性顧問の
後任の
だが奇跡が起こる。
今年は男子一名、女子二名も入部したのだ。
知的な女子の
……やがて三年生の引退時期が迫った。
文芸部は次期部長を指名すべく久方ぶりの部会を開くのだった。
* *
部会会場となる三年生の教室には、すでに理紗、舞、洋祐が揃い、着席していた。
──引き戸が開く。
「ぬわああん疲れたもおおん」
田戸がブレザーをはためかせる。
「疲れた……」
坊主頭の光浦がぼやく。
「………」
続いて、光浦と田戸を見やりつつ村野が無言で入室する。
「顧問から『次の部長どうすんの』って聞かれたゾ。すっげえ口調キツかったゾ~」
「こんなんだからやめたくなりますよ~」
やめたくなるようなキツさになったのはあんたら先輩の運営のせいで顧問の信用を失ったせいだろ、と洋祐は心の中で毒づく。
今や顧問は新入部員の名前すら知らない。
「おい一年、誰か部長に立候補すんだよあくしろよ」
すでに洋祐は把握していたが、上級生が注目している部長候補は佐藤理紗である。だが彼女はおしとやかな、言ってみれば大和撫子(伏せられた切れ長の瞳に麗しい黒髪という容姿も)な雰囲気で、自分が目立とうというタイプではない……皆が押し黙っていた──その時!
「──俺が部長をやります」
東城洋祐が男らしく手を挙げた。
本命の候補ではないが、立候補してきた以上は仕方ないと上級生も頷いた。
その場で副部長の人事が協議され、上級生の要請と本人の了承で理紗が選ばれたのだった。
ちなみに舞は副部長への就任を拒んだ。【
* *
房総高校文芸部部長である東城洋祐は、同顧問の片桐弘美と対峙、新部長就任の挨拶は就任にらみ合いとなっていた。
顧問の職場である英語科準備室にヒステリックな声が響きわたる。本来であれば文芸部の顧問は国語科教師であるが、片桐は英語科だ。教職員から文芸部が軽視されているのが読み取れる。
「一体文芸部はどうなっているの」
顧問は連絡が上がっていない苛立ちから、きつく文芸部新部長東城洋祐に問いただす。
「ですから、部長の仕事は私が責任を持ってやりますから、先生のご理解をいただきたい──」
「責任とるって、あなたね──」
言ったそばから揚げ足をとられる。顧問と部員の決裂は、もはや修復不能と思われた。
「………失礼しました」
洋祐は早々に話を切り上げた。
文芸部の運命やいかに──
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