第13話 暗いキャンプ場で、やらかす
もはや寄せ鍋なぞ作る気力も時間もなく、風が吹く中モンベルのケトルでお湯を沸かす。
ガスボンベを外してしまい、色々面倒なのでコンパクトバーナーをレンジフードで囲っていたのだが、それでも火が消えるほどの強風に遭い、結局100円ショップで買ったペンライトを点けながらカセットコンロを使うこととなった。
今夜の食事は、たまたま目に入ったカップ麺とカップみそ汁の、汁物オンパレード。
どう考えても塩分過多である。
それらを無我の境地で片付けると、ようやく寝床の準備を始めた。
******
夜の洗い物を終片付け、荷物の整理(主に車に叩き込む作業)と着替えを済ませると、シュラフに潜り込んだ。
外から聞こえるのは、は川のせせらぎ。
ただ、それだけ。
(ほえー……)
そのまま寝れば良いものを、いつもの癖でTwitterを開いていた。フリーWi-Fiという便利過ぎる設備のせいである。
寒い寒いと
『そっちの調子はどうだい?』
『温泉、行きましたよ』
『どのくらいなの? 歩ける距離?』
『車で20分ですね』
『ほむ。どうだった?』
『帰りに通行止めのおかげで迷子になりましたよ』
『ワロタwww』
相変わらず、ひどい人である。
『川の音しか聞こえないんで、何だか懐かしい気分になってます』
『せせらぎをBGMに執筆なんて、良いじゃないか』
『できる状態じゃありませんよ今は……というか温泉で書きましたし』
そこまで返したところで、ふとトイレに行きたくなった。
ペンライトをつけ、テントから這い出る。
トイレと炊事場までほとんど距離のない場所を選んでいて、本当に良かった。
******
本日2回目の不幸イベントは、その帰り道に起きた。
「うわっ!?」
という私の小さな悲鳴と、何かが折れるような音。
ライトで足元を照らすと、プラペグが1本、下から半分がない状態で発見された。
(あーあ……)
このくらいなら平気だろう、と思っていたが。
自分のドジっ娘属性は計算するのを忘れていた。
だからこそドジなのだが。
(ふええん……どうしよう……)
もうペグを掘ることも刺しなおすこともできないので、その辺の石で代用する。
(片付けの時に発掘すればいいか……)
こんな暗い中で、しかもそこそこ寒いのに土木作業なんかやりたくない。
はぁ、とため息をついて、テントに潜り込む。
またTwitterでしばらく時間を潰してから、ようやく灯りを消した。
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