2日目 色々しんどかったから、リベンジがしたい。また行く。
第14話 朝、そして決意
スマホで全く目覚ましをかけなかったにも関わらず、腕時計の7時ちょうどに目が覚めた。
今朝は涼しいと寒いの間くらい。
スキーウェアで本当に良かった。
起きてまずは顔を洗い、テント内の片づけ。
エアベッドやら昨日の着替えやらと引き換えに、直前に調達しておいたパンを用意。
バーナーでお湯を沸かし、「ディズニーシーの味」と話題になっていた例のオニオンスープで頂く。
最初の一口は、スープだけ。
「これは……まさしくだわ……! これぞディズニーシーの味!!」
唐突に脳内でディズニーシーのテーマソングが流れ出す。
今日はもう帰るだけなのに、気分は帆を上げてどこかへ出航してしまいそうだ。
二口目からはスープにつけながらパンを食べるという、普段泊まりでパークに行くときとほぼ変わらないメニューで朝を過ごした。
******
食後に、まずはテーブルの掃除。
机面を拭き上げてから、脚部分の埃を払い、車へ格納。
続いてテントを片付ける。
昨夜の事故を教訓に、ペグを先に抜去した。
シートの汚れは車にあった雑巾で掃除をし、ポールと仲良くトランクへ。
タープは非常に厄介である。
テントと違いペグはスチール製、万が一コケても問題はない。
しかし形状が三角形なので、工夫して畳まなければ綺麗に納めることもできない。
底辺部分のロープ類を先に外し、頂点部分は固定したままで折りたたむ。
ある程度小さくなったところで固定を解除し、バッグに納めた。
最後の厄介はペグの撤去である。
余っていたペグをスコップの代わりに、周囲を掘りつつ先端を露出させていく。
ちょうど水も余っていたので、捨てるのはもったいないと有効活用。
……割と子供の砂遊びみたいというか、はた目から見たら完全に外遊びだよなこれ。
まあ野外レジャーだからあながち間違いとも言えないけど。
全10本のペグを抜き終える頃には、地面にはところどころ小さな水たまりができ、大小の石が転がる状況になっていた。
それらは全て元のように土の下にお帰り頂いたが。
9時半くらいから片付けを始めたのに、終わる頃にはチェックアウトギリギリになっていた。
それもあってか、いつの間に帰ってきていた管理人のオジサンが軽トラで様子を見に来ていた。
運転席越しから声をかけられる。
「あ、おはようございます!」
「おはようございます、それからお疲れ様です。昨日はよく眠れましたか?」
「はい、おかげさまで」
「今日もちょっと残念な天気ですけど、良かったらまた遊びに来てくださいね」
「はい。ありがとうございました!」
「それじゃ、気を付けてね」
「お世話になりました!」
颯爽と走り去るトラックを見送りつつ、ふと思う。
(また、来てやろう。今度こそキャンプ鍋をかっ食らってやるぞ……!)
無論自分の心中の言葉なのだが、なぜだか東山奈央ボイスの女子高生ソロキャンパーの声で脳内再生された。
何を言っているのかわからないと思うが、私も分からない。要はそういうことである。
戯言はともかくとして、リベンジを心に誓いつつ、キャンプ場を後にした。
******
その後、ししょーから「夏キャンプ」の話が持ち上がったのはまた別のことである。
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