第4話 テントOK、コンロOK。あと必要なものは。

 テントはちゃんと設営できるし、タープも買った。

 あとは、コンロとバーナーがちゃんと動作するか確認しないと。


「ねえ、お父さん」

「どうした?」

「このコンロ、使える……よね?」

「ああ」


 以前持ち出しておいたツーバーナー式のコンロを持ち上げる。

 ボンベはキッチンに転がっていた未開封2本。


「試すなら、車動かして外でやれよ」

「はーい。あとさ、こっちの使い方教えて欲しいんだけど」


 以前の宝探しで見つけた、もう1つの戦利品である。

 見た目は1口タイプのガスコンロを更にコンパクトにしたようなもの。

 多分、下にボンベをセットするのだろう。


「分かった、いいぞ。ボンベも確かあったよな?」

「あったよ。2つ」

「裏にペンで日付書いてある方が容量少ないから、そっち持って来て」


 部屋に戻り、ボンベをひっくり返す。

 1本は何も書いておらず、もう1本の底には極太な文字でメモ書きがあった。

『91' 01/18 OPEN』


(げっ……大丈夫これ……?)


 容器に劣化がなければ問題ないことは、後で分かったのだが。




 ******




 車を家の前に路駐し、ついでにテーブルセットも展開。

 椅子は面倒だったので玄関前のキャンプ椅子で代用した。

 まずは後ろ側のふたを開け、ボンベをセットする。


(切り欠きを上にして、と……あれ? セットされない?)


 押したり引いたりを繰り返すが、うんともすんともカチリともいわない。

 オマケに金具部分はグラグラと不安定だ。


(やっぱり壊れてるのかなこれ……あれ? はまった)


 何度目かのチャレンジの後、ボンベはしっかりと固定された。

 試しに外してみると、ちゃんと離脱する。

 そしてまた、はめ直す。


(この感触、もしかして磁石式!?)


 もう片側を試してみると、今度はあっさりとはまった。


(説明書ないんだからさあ!! せめて外箱に書いておいてよ!!)


 初っ端からコケた感があるが、まあいいやと作業は続ける。

 外箱を車庫の片隅に追いやると、いよいよ点火試験。

 プラグは問題なくスパークするものの、なかなかガスに点火しない。

 3、4回繰り返すと、ようやく燃焼を始めた。

 外は明るいので炎は見えないが、熱で火力はなんとなく分かる。

 これなら、問題なく使えるよね。

 何もせず片付けるのは何だかというような気がするし、ちょうどお昼時だからこのままキャンプ飯にしよう。

 途中で様子を見に来た父にコンパクトバーナーの使い方も教わり、つつがなくコンロの試験も終了した。




 ******




 車庫の片付けを済ませると、部屋でメモ。

 先のキャンプ飯で「これが必要かな」と思ったものを片っ端から書き出していく。

 検討は後でもできるので、今はブレストである。


(まずはやかんでしょ、ボンベの予備1セットと、残りは……)


 小物類は近くの100円ショップで買えばいい、残りのグッズはどうしようか。


「明日も休みだし、また行くか」


 ここまでは良かったのだが、春休みのせいで明日が祝日であることをすっかり失念していた私であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る