第3話 アウトドアショップに行こう!

 父が自転車で買い物に行ったあと、早速私は車のトランクを開けた。

 トランクと言っても、ワンボックスカーなのでサードシートの後ろ部分なのだが。

 とりあえず、床板を開いてテントとシュラフを叩き込む。

 ふたを閉め直し、その上にキャンプ用品が入った透明なボックスを積んでいく。

 これだけ入れても前からは全く見えないので、隠すには都合が良い。


「あとは、ショップだよね」


 近くのアウトドア用品店、で検索。

 ホームセンターとアウトドアショップが一緒になったモールが1軒見つかった。

 距離的に、車で40分といったところだろうか。


「どうしようかな……。行ってみるか」


 財布の入ったバッグを部屋から持ち出し、車のエンジンをかけた。




 ******




 流石に土曜日、しかも月初めにグランドオープンしたばかりとなれば混雑しているのも当然であった。

 それでもなんとか車を停め、まずはホームセンターからお買い物スタート。

 フロアマップで「アウトドア用品」のコーナーを確認し、天井の吊り下げ看板を見ながら商品棚へ。

 まずはタープから。

 キャンプの天気は読みづらい時期もある、そんなときに屋根がなかったら急な雨に対応できない。

 備えあれば憂いなしの精神である。


(タープは……あ、あった。でも、これ無理じゃないかな、1人で設営するの? てか無理じゃん! 設営は2人からとか書いてあるし!)


 展示販売されていたワンタッチ式タープは、ペグダウンの必要こそないものの、明らかにソロ向けではなく、ファミリーとかグループキャンプ向けの商品だった。

 車だから持ち運びは別にいいけどさ、求めてるのはそういうのじゃないよ。

 やはり餅は餅屋、といったところか。




 ******




 気を取り直して、隣の専門店「WILD-1」へ。

 シューズ類や服装まで、シチュエーション別で用意がされている。

(うおおお……! これはテンション上がるぅー!)

 趣味が趣味なので基本はインドア女子なのだが、冬になれば毎年スキー旅行に向かう一家のせいか、この手のショップは雰囲気が好きだ。お店の空気を感じるだけでワクワクが止まらない。

 早速、キャンプ用品のコーナーへ向かう。

 大小さまざまなサイズのテントが展示され、中を覗けばシュラフやマットが。

 ワンタッチタープの下には、テーブルセットと小さなコンロ。

(なんかもう、感動だわこれ……いやいやいや待て待て加奈、キミの目的はタープを探すことだろう?)

 まずは店員を捕まえるところから。

 ちょうど近くに30代くらいのオジサン店員がいた。


「すみません、タープ探してるんですけど」

「タープですか、担当の者を呼びますので少々お待ちください」


 どうやら、店員にも専攻分野があるらしい。

 案内をしてくれたのは、「アルバイト」と名札に書かれた、多分私と同年代くらいのお兄さん。


「どのようなタープをお探しですか?」

「ソロキャンプにいくので、2人用くらいのを」

「お値段はどのくらいをご希望ですか?」


 考えてなかったな、そういえば。

 今の貯金が10万でしょ、先月分のクレジット請求が2万ちょっとで……。


「1万5000円から、2万円くらいですね。あと、出来れば近くで焚き火しても多少は大丈夫なものがあれば」

「ありがとうございます。ところで、キャンプは行かれたことありますか?」

「昔家族で行ってたんですけど、今回はソロに挑戦してみようかなって」

「ああ、なるほど。でしたらですね……こちらはいかがでしょうか? コットンが使われているので、燃えにくい材質となっております。ただ防炎加工ではないので、その点お気をつけていただければと」


 お値段、税込およそ2万。いきなり上限である。

 写真のサイズ感も、少し大きすぎる。


「もう少し小さいのはありますか?」

「でしたら、こちらですね」


 すぐ隣に陳列されていた三角タープは、1万と3000円ほど。

 これならいいかも。


「ポールとかは、別売りになるんですか?」

「そうですね、ポールでしたらこちらになります」


 少し右に移動する。

 可変式だったり、長さが変わらないタイプだったり。

 値段もモノによって違っている。


「先ほどのタープですと、一番短いロープが2.5mですので、230cm前後のポールになるかと思います」


 最適なポールの値段は、1本2500円ほど。

 さっきのタープと合わせて、ぴったり2万円。

 どうせペグは家にあるのが使いまわせるし、設営は問題ない。

 なら、これで買いかな。

 ついでにテント内の照明に使う小さなランタンをゲットし、合計2万2000円のちょこっと大きな買い物をして、家路についた。


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