第31話 作戦決行
そして、それから5日が経過したあと、俺たちは作戦を決行することにした。
その日まで浩香と淳一たちはキャンプに来た若者グループを装ってテントを張って桜の家に仕掛けた盗聴器から情報を収集したが、桜たちは俺たちに気づかれているとは全く気づいておらず、何でも話したが、その中で金曜にはいつもパーティを開くことにしていることが分かり、俺は金曜日を作戦決行の日と決めた。パーティの時は桜たちはバカ騒ぎをしてアルコールで桜や小倉たちはもちろん、外の警備の連中も油断しているはずだから攻撃しやすいと読んだんだ。
桜たちはアドルフがメンバーに加わったことで久しぶりに明るい話題ができて上機嫌だった。鴨川と中村たち、つまり、俺たちを倒したらアドルフにもいろんなイベントに参加してもらおうと話していたが、それだけでなく、自分たちがこんな目に会ったのは浩香が原因だから浩香を捕まえて浩香にこれまで罰を受けてもらおうと話していて、桜と厚は浩香が苦しむ姿を想像すると笑いが止まらないと愉快そうに話していた。
それと、桜は俺のことも思い出したらしく、俺がどこにいるかは分からないが、探し出して始末してやろうとも話していた。それと、桜が沙織を嫌っていたのはやはり名前に「タカ」の字が入っていたからで又一を信頼しているのは名前に「ウサギ」の字が入っているためだと分かった。桜は昔からウサギが鳥と同じくらい好きで小学生の時はウサギの世話を熱心にしていた。周りはそんな桜を見てほほ笑んでいたが、俺は少しも笑えなかった。ちなみに浩香はウサギが嫌いだった。浩香は女だから何でウサギが嫌いなんだと思うかもしれないが、浩香はいつも嫌がらせを受けて苦しんでいて浩香が通った小学校でもウサギは飼われていたが、ウサギは生徒たちからいつも優しく接してもらっていて浩香は自分が毎日、ひどい扱いをされていたことで「何よ。これは私より、動物の方が大事なの」と思ってすさまじい怒りが込み上げてきたらしい。
それ以降、浩香はウサギが嫌いになった。ちなみに浩香は小学生の頃から狩猟について調べていたが、狩猟鳥獣の中にウサギが含まれているのを知ってカモやキジやシカやイノシシだけでなく、ウサギも将来はしとめたいと思った。理由は浩香が大のウサギ嫌いだからだが、ウサギは実は世界中で食材として食べられていて日本でも昔は普通に食べられていたんだ。それ以来、浩香はウサギを多くの人と同じように愛玩動物としてではなく、食材として見るようになり、「ふん、待ってなさい、私が捕まえて食べてやるわ」と飼われていたウサギを見てそう誓ったらしい。
ちなみに浩香は又一の名前が「雄兎」だと知って今ではウソとばれた「従軍慰安婦」の問題で「私の戦争犯罪」という本を書いて慰安婦狩りをしていたと言い出したある詐欺師のことを思い出した。
この詐欺師の本名が「雄兎」で浩香は詐欺師について調べた時、こいつの本名が「雄兎」だと気づいてそのことを覚えていたんだ。浩香はもう死んだが、この詐欺師に憎悪を抱いていてもし、生きていたらなぶり殺しにしてやりたいと話してくれた。俺もこいつのことを調べて絶対に許せないと思った。それ以上に許せないのはこの詐欺師とつるんで「従軍慰安婦」の宣伝を行い続けた新聞社(どの新聞社かはわかるよな?)だ。この新聞社は何がやりたいんだ?
話はそれたが、浩香はテントの中で桜たちの話を聞きながら顔をしかめていた。特に浩香を後で捕まえてなぶり殺しにしてやろうと桜たちが楽しそうに話しているのを聞いた時は怒りでどうにかなりそうだった。浩香は何とか怒りを抑えるのが精いっぱいだった。
「ふざけやがって」
浩香は怒りで震えながら思わず口ずさんだ。
「ああ、全くだ。ふざけやがって」
哲磨が盗聴器から流れてくる桜たちの会話を聞きながら言った。哲磨は浩香以上に桜たちに怒りを抱いていた。その時の哲磨の前に桜たちが現れたら哲磨に確実に殺されていただろう
「まったくだぜ、だが、笑っていられるのも今のうちだぞ」
「ええ、そうよ」
「うん、うん」
淳一たちも相槌を打った。
「ええ、そうよ。思い知らせてやるわ」
浩香は答えた。
そして、作戦決行の日、俺たちはそれぞれの装備を持って桜の屋敷に向かった。
メンバーは俺と浩香、淳一たち、そしてアドルフで、アドルフは「俺にも参加させてくれ」と進んで言ってきて、俺たちはもちろん、加わってもらうことにした。
俺たちが持ってきたのは俺がベレッタ92FSとモーゼルHSC、ヘッケラー&コッホMP5、そしてもちろん、64式小銃で浩香が勝吾たちから手に入れてきた日本刀とブルーノ602Kも持ってきていた。
浩香はCZ75とS&WM29、ワルサーPPKとレミントンM870マリンマグナムとウージー9ミリサブマシンガン、俺が手に入れたマグロ刀も持ってきた。マグロ刀は白鞘の刀のようで浩香は「バトルロワイアル」の映画で桐山が白鞘の刀を使っていたのを見てすごくカッコいいと思って使ってみたかったらしくマグロ刀は刀ではないが桐山が持っていた白鞘の刀にそっくりで白兵戦になった場合に有利だと思って持ってきた。
ちなみに浩香は家にあった古い竹刀で練習していたらしく刀の使い方にも慣れていた。俺も浩香に教えてもらって古い竹刀で練習を続けていたから桜の部下たちと白兵戦を演じることになっても自信がある。
淳一たちも手に入れた拳銃2丁とライフル、サブマシンガンとハンティングナイフやサバイバルナイフ、コンバットナイフ、ダイビングナイフを持ってきていた。そしてアドルフは自分のヘッケラー&コッホUSPと俺が手に入れたヘッケラー&コッホG3、シュマイザー、ルガーP08を持ってきていた。俺は逢坂たちと戦った時に手に入れたS&WM5906を勧めたが、アドルフはかつてのドイツが作り出したこの銃を選んだんだ。シュマイザーと同様、このルガーP08は1945年以前に作られたものでアドルフは分解して点検して不具合が生じていないか調べたが、十分使用に耐えられる状態だった。
俺たちは森の中を進み桜の屋敷に近づいた。
屋敷では桜たちがパーティを始めていることが盗聴器から分かり、桜と厚、小倉がノリノリで歌も歌っていることが分かったが、相変わらず歌は下手で俺たちは反吐が出る思いだった。
警備の連中も外で待機はしていたが、桜が持っていった料理と酒のせいで浮かれて全員、油断していることがすぐに分かった。
「よし、やつらは油断してる。攻撃準備」
俺は64式小銃を手に言った。
「ええ、もちろんよ。」
「おう」
「やるわよ」
「うん、俺たちの力見せてやろう」
「当然だ」
「ああ」
浩香はマリンマグナム、淳一はM1ガーランド、彩夏はM1カービン、拓斗はウインチェスターM94、哲磨はレミントンM7400、アドルフはヘッケラー&コッホG3を手に答えた。
「よし、やるぞ」
俺は合図した。
俺たちは手に持ったライフルやショットガンの狙いをつけた。
「撃て」
俺の支持で俺たちは攻撃を開始した。俺はフルオートで64式小銃を発砲し、1人の頭を吹っ飛ばした。
アドルフと淳一たちもライフルを発砲し、たちまち、5人の敵をしとめた。少し遅れて浩香のマリンマグナムから発射されたスラッグ弾も命中し、そいつは内臓をぶちまけながら絶命した。
外にいたやつらはそれまでの浮かれムードから一変、大混乱に陥った。
その時、桜たちは大広間にいて、小倉がステージで松浦と孝子と一緒にノリノリでAKB48の「ヘビーローテーション」を歌っていて桜たちもノリノリで盛り上がっていた(ちなみに沙織はこの時もウェイトレスの格好をさせられて働かされていた。)んだが、外で銃声が聞こえて悲鳴が上がると同時に騒然となった。
「な、何なの」
桜は喚いた。その時、外にいた部下の1人が駆け込んできた。
「た、大変です。敵が襲ってきました。石川たちがさっきやられました。外は大混乱です。」
「な、何?ど、どこのどいつだ。」
武田がうめいた。
「武田さん、鴨川たちに決まってるじゃないですか」
由歩が1人、冷静な口調で言った。
「そ、そうだわ、鴨川たちよ。クソ、いつ、ここに気づいたのよ。返り討ちにしてやるわ、あなたたち、全員、出動よ」
桜が叫んだ。
「了解」
広間にいた桜の部下たちは全員、出ていき、松浦がガンロッカーのカギを開け、中のアサルトライフルやショットガンを取り出した。
「行くぞ、鴨川たちを叩き潰せ」
又一が韓国製デーウーDP380を手に言った。
「おう」
桜の部下たちは気勢を上げながら外に飛び出していった。
広間には桜と厚、小倉、武田、尾花、清美の首脳部6人と由歩、それと沙織だけが残った。
「桜さん、私も行きます。聞こえてきた銃声から判断したんですが、敵は7人くらいいると思います。私の予想ですが、鴨川がここを探り出して中村たちに教えたんじゃないでしょうか?鴨川も中村たちも桜さんに恨みを抱いてますから手を組んだんじゃないですか、それで今日、襲ってきたんですよ。」
「そ、そうだ、そうだよ。そうに違いない。そういや絹子の奴、鴨川のことは知らないとかほざいてたが、どうも芝居じみてた。やつらは組んでたんだ。そうに違いない」
厚が気づいて言った。
「そうね。そうよ。お願い由歩さん」
「ええ」
由歩はギターケースからライフルとサブマシンガン、ロシア製AK47カラシニコフとシュパーギンMP41を取り出した。ギターケースにはやはり、銃がしまわれていたんだ。ちなみにシュパーギンMP41は「非常の標的」で浅岡も手に入れて使ったサブマシンガンで安価で生産でき、堅牢で命中精度も高い傑作銃だ。昔のドイツ軍からも鹵獲したMP41は高評価だったらしい。
由歩はAK47とMP41を持つと部屋を飛び出していった。
「おい、鷹森、お前も行け、何やってんだ。」
尾花が床に腰を下ろしたままの沙織を見て怒鳴った。
「す、すみません。私、怖くてダメです。」
沙織は哀れっぽく言った。
「クソ、肝心な時に役に立たないわね。あんたはボディガードとしてここにいなさい」
清美が吐き捨てるように言った。
「は、はい」
沙織は腰に差していたワルサーPPK/Sを抜いて言った。ちなみにこれはすべて沙織の演技だ。沙織にはその日の夜に攻撃をかけると伝えてあった。だから撃ち合いに巻き込まれないように演技をしていたんだ。
「ふん、役に立たないわね。」
桜は沙織を罵るとトランシーバーの電源を入れて外にいる部下に指示を出し始めた。
「いい、みんな敵は鴨川たち7人よ。数はこっちが多いわ、全力で攻めるのよ。」
桜はトランシーバーに向けて叫んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます