第26話 真相
一方、俺は田上町の桜のアジトを夜の11時過ぎになって襲撃していた。
俺はアリオンを桜のアジトから離れた空き地に停め、林の中を闇に紛れてアジトに近づいていた。
アジトの中はまだ明かりがついていた。一方、外にはラーメン屋にいたあの女が粗末な椅子に座ってタバコを吸いながら退屈そうにしていた。
俺はまず、女を襲うことにし、林の木の陰に隠れてチャンスをうかがった。
「あああ、全く、退屈ね。それにしても蒸し暑いわ」
女は手で仰ぐと立ち上がり、服を脱ぎ始めた。
女はブラジャーも脱いでパンツ1枚の姿になると近くの水道から水を出してタオルを湿らせて身体をぬぐい始めた。
「ふう、少しはマシになったわ、全く、何で毎日、私が見張りなのよ。こんな蒸し暑い日にそんなことできるかってのよ。」
女は不満そうにつぶやいていた。その瞬間、俺は女の首筋に手刀を当て、女を失神させた。
そのあと、俺は女の服をナイフで切り裂いてひもを作り、女を縛り上げ、さるぐつわもかませた。
ちなみに女の服の下にはサイレンサー付きのワルサーPPK/Sがあった。
ワルサーPPK/SはワルサーPPKに似ているが、全く別の拳銃で法律の関係でワルサーPPKをアメリカに輸出できなくなったワルサー社がワルサーPPKに似たモデルのワルサーPPをベースに新たに開発した銃だ。ワルサーPPKより大型になったが、握りやすくもなり、かなり好評で今も生産が続けられている。このワルサーPPK/Sは380ACPバージョンらしかった。俺はこの銃を作戦に使うことにし、ありがたくいただくことにした。
俺はそのあと、女のパンツ、薄い青のシンプルなやつだった。を脱がせて女の臀部を露出させた。
そのあと、女の臀部に強烈な一撃を加えた。女は悲鳴を上げて意識を取り戻した。
「ひいい、いたああい、だ、誰ですか、あ、あなたは?」
女は恐怖におびえながら聞いた。
「俺?俺は中村輝也だ。聞いてないか?お前の雇い主から」
俺は鴨川とは別の偽名を名乗った。
「な、中村?あ、あなたが、わ、私を殺すんですか?イヤ、そんなのイヤ、お願いです。私を殺さないでください。あなたのためなら何でもしますから」
女は必死の表情で哀願した。
「よし、じゃあ、いくつか聞くぞ、お前の雇い主の桜って女はどこに隠れてるんだ?答えろ」
「桜の居場所、わ、私は知りません。私は桜に言われて言われたことをやってるだけなんで」
「本当か?正直に言った方が身のためだぞ」
俺は女の臀部を力いっぱい、たたいてやった。俺の力は非常に強いので女の臀部は赤く腫れあがる
「いやああ、痛い、本当です。本当に知りません。どうか許して」
女は泣きながら哀願する。どうやら本当らしい
「なるほど、本当らしいな。じゃあ、今、中に何人いるんだ。そこに桜の居場所を知っていそうなやつはいるのか?」
「な、中には今、10人います。桜が今、どこにいるか知っているのは、多分、逢坂だと思います。逢坂正純」
「逢坂?誰だそいつは?」
「はい、20代半ばのどこかのお坊ちゃんみたいな男がいるんですけど、そいつが逢坂です。確か、逢坂は桜のお気に入りで桜がイベントを開くと必ず一緒に来てたらしくて、桜とできてるんじゃないのかって噂まで流れたほどなんです。普段はいないんですけど、桜に言われて様子を見に来たみたいでまだ、中でほかの連中と騒いでます。」
「なるほどな。」
俺は昼間見たプリウスに乗ったお坊ちゃん風の男を思い出していた。あいつが逢坂か
「よし、分かった。あばよ。」
俺はワルサーPPK/Sの引き金を引こうとした。
「いやああ、お、お願いです。殺さないで、私は桜に忠誠を誓ったことはありません。桜は私のことを嫌ってるみたいで粗末な扱いをされて私も腹が立ってたんです。だから、桜が死のうが生きようが関係ありません。あなたが桜を殺すときは力になりますから」
女は必死で答えた。女の顔には生への執着心がにじみ出ていて自分が助かるためならどんなことでも平気でするように見えた。
俺は少し考えてこう答えた。
「そうか、分かった。命は許してやる。しかし、少しでもおかしな真似をしたら命はないからな」
「あ、ありがとうございます。あの、私、鷹森沙織といいます。沙織って呼んでください。これから、あなたの家来、いえ、奴隷です。なんでも命令してくださいね。」
女、名前は沙織は必死の愛想笑いを浮かべて言った。
「ああ、分かった。」
俺は無表情のまま答えたが、沙織の名前にタカという字が入っているのに気づいて桜が沙織を嫌っている理由が分かった。桜が俺に敵意を抱いていたのは俺の名前にカモという字が入っていたからだ。そして沙織の名前にはタカという字が入っている。桜はタカが嫌いだ。沙織の名前にタカという字が入っているから嫌っているそう思ったんだ。非常にバカげた理由だがな。
「よし、俺は裏口から行く、お前も人質ということで連れて行くぞ」
「はい、あの、縄をほどいてください。いいですよね。」
「いや、ダメだ。しばらくはそのままだ。」
「うう、ダメですか、それじゃあ、せめてパンツを履かせてください。さすがに恥ずかしいんで、あ、私のお尻を堪能したかったらそのままでもいいですけど」
「いや、下着はつけておけよ」
俺は沙織のパンツを戻してやった。
「はい、すみません。あ、私のお尻、あまり魅力的じゃなかったですか?」
沙織はどこか残念そうに聞いた。
「いや、魅力的だった。安心しろ」
俺は即答した。浩香のよりは劣るがな
「ありがとうございます。」
沙織はほっとした表情で言った。
「行くぞ」
「はい」
俺は沙織を肩に背負うと裏口に回り、針金でドアを開けて中に入った。
そこはキッチンで電気は消えていたが、近くのリビングからは明かりが漏れていて中からはやたら楽しそうな話声が聞こえた。
「あそこだな」
「は、はい」
沙織はうなづいた。
俺は部屋の中をうかがった。部屋の中には男6人と女4人の10人組がいて酒を飲みながら騒いでいた。そして中央には見た目がハンサムなお坊ちゃん風の男がいてこの男が逢坂だとすぐに分かった。
「行くぜ」
俺はワルサーPPK/Sを左手、シグザウエルP232を右手に持ち、一気にふすまを開けて部屋に突っ込んだ。
部屋の中に突入すると逢坂たちは言葉を失い。呆然となった。
俺はやつらが動き出すスキを与えず、2丁の拳銃を発砲した。
「うわああ」
やつらは頭や首筋、心臓に被弾し、絶叫を上げながら倒れていった。逢坂以外の9人は俺の攻撃で即死し、逢坂は呆然としていたが、突然、発狂したような声を上げて拳銃を抜こうとした。
俺はすぐにワルサーPPK/Sから発砲、逢坂の右ひじを撃ち抜いた。
「うがああ」
逢坂は床に倒れ、のたうち回る。
俺は弾倉を付け替えながら言った。
「動くな。お前が尾崎桜の部下だってことは分っているんだぞ、死にたくなければ正直に答えろ、桜は今、どこにいる。」
俺はドスの効いた声で言った。
逢坂は発狂しそうになりながら、何とか話し出した。
「ひいい、あ、あんた、誰だ。鴨川か、中村か、それとも別の第三者?や、やめてくれ、俺は桜ちゃんがどこにいるか知らない。親衛隊しか知らないんだ。だから、見逃してくれ」
逢坂は必死で首を振ったが、ウソをついているのがすぐに分かった。
「俺は中村だ。桜の居場所は知らないのか?本当か?こいつはお前なら知ってるって言ってたぜ」
俺は縛ったままの沙織を連れてくると床に置いた。
「た、鷹森、お前、何を言った。」
逢坂は喚いた。
「何って、桜さんの居場所を教えろって言われたんで、私は知らないんで逢坂さんなら知っってるかもって言っちゃいました。仕方ないじゃないですか、私、死にたくないし、服を脱がされてお尻までたたかれてすごくひどい目に会ったんです。すぐに音を上げちゃいました。」
沙織は哀れっぽく言った。
「クソ、だらしねえな。」
逢坂はがっくりと来た。
「ということだ。お前も死にたくなけりゃ、正直に話せ、そうすりゃ、見逃してやってもいいぜ」
俺は逢坂に希望を持たせるように言った。
「いや、俺は知らねえ、本当だ。知らねえ」
逢坂は頑張る。
「そうか、お前は頑張るというのか」
俺は沙織のさるぐつわをとり、下着をまた、脱がせた。
「え、あの?どうしたんですか」
「ああ、逢坂に恐怖を味わわせてやるんだ。協力しろ」
俺は沙織を肩に担ぐと右手のP232を逢坂に向けたまま沙織の臀部を力いっぱい叩いた。
「きゃああ、痛い、やめてええ」
沙織はあまりの激痛に泣きわめいた。さるぐつわを外したので悲鳴が部屋中に聞こえた。
「うわああ、やめてくれ、やめてくれ」
逢坂は自分がやられたわけでもないのに沙織の悲鳴を聞いて恐怖に震え始めた。
「中村さん、もうやめてください。」
沙織は泣きながら哀願する。
「だったら、逢坂に本当のことを言うように言え」
「う、う、逢坂さん、痛くてたまりません。本当のことを言ってください。」
沙織は涙ながらに哀願する。
「わ、分かった。いう、言うから」
逢坂はがっくりと首を折った。
「よし、桜の居場所はどこだ。」
俺は沙織を床に置くと逢坂に聞いた。
「桜ちゃんは阿賀野市の五頭山の中にいる。近くに人家のない本当に山の中だ。」
逢坂は頭を左手で抱えながら言った。
「そうか、阿賀野市の五頭山かよくわかったよ。」
俺はついに桜の居場所をつかんだと思い、心の中で「よし」と思っていた。同時に
「そういえば、俺の両親が行方不明になったのも五頭山だったな。」と思っていた。これは偶然なのか?
「よし、正確な場所を教えろ、それと、桜の家の警備状況はできるだけ、正確に教えろ」
「ああ、桜ちゃんの家の正確な場所は・・・」
逢坂は洗いざらいしゃべりまくった。桜の家には部下が40人ほどいてアサルトライフルやショットガン、サブマシンガンもしまってあるが、そんなに多くはなく、主要な武器は拳銃らしい。それと、これは聞いて驚いたんだが、桜は管轄の警察署の署長や幹部に賄賂を贈っていて万一、家の近くで銃声や爆発音がしてもパトカーなどは飛んでこないようにしてあるらしい。俺は大藪さんの小説で警察と犯罪組織がつるんでいるシーンを何度も見てきたが、まさか、本当にそんなことが行われているとはと改めて思った。
「なるほどな。よくわかったよ。しかし、警察まで買収できるとは桜は相当な金持ちなんだな。桜はどうやってそれだけの金を手に入れたんだ?両親が死んで保険金が入ったらしいが、それだけなのか?」
俺は気になって聞いた。
「ああ、両親が死んで保険金が入った。3億くらい入ったらしい。その金で団体を立ち上げたんだ。だけど、それだけじゃない。確か伯父さんが病気で死んだときも保険金が入ってそれだけで3億くらい入ったらしい。伯父さんは桜ちゃんを溺愛してたらしいしな。それに伯父さんは独身だけど金持ちで1億くらいの遺産をもらったらしい。それと、団体を立ち上げてからいろんなイベントをやることになったんだけど、イベントの時に自然保護に使うっていう名目で寄付金を募っててさ、桜ちゃんは明るいかわいい子って感じだからすげえ、金額の寄付金が入ってくるんだ。それで桜ちゃんはすげえ、金持ちなんだよ。」
「なるほどな。保険金を2回ももらったのか、ちょっと待て、両親は事故で伯父は病気だったらしいが、それって本当か?」
俺はその時、ある疑念が生じ、気になって聞いた。
「ああ、本当だよ。」
逢坂は即答したが、表情が不自然だった。
「ウソをつくな」
俺は逢坂の右足1発撃ち込んだ。
「うわああ」
逢坂はのたうち回る。
「ひいい、そ、そうだ。ち、違う、表向きは事故と病気だけど、本当は違うんだ。桜ちゃんが殺したんだ。両親も伯父さんも俺と2人きりのとき、話してくれたことがある。桜ちゃんは両親や伯父さんから溺愛されてたけど、実はいつもうざいと思っててさっさと死んでほしいと思ってたみたいなんだ。それで両親には確か麻薬入りの酒をうまいこと言って飲ませて事故死させて、伯父さんは病弱でいつも薬を飲まないとだったから薬をすり替えて病死したことにしたらしい。桜ちゃんは悲劇のヒロインを演じたから誰も疑わなかったらしい。」
「そうか、桜が殺したのか」
俺が想像した通り、桜が事故や病気に見せかけて殺していたんだ。自分の肉親まで平気で殺していたとはな
「ああ、そ、そうだ。そ、それと、もう1つ」
「何だ?」
「桜ちゃんの昔のクラスメートで鴨下とかいう男がいたらしいんだが、実はその男の両親も桜ちゃんが殺したらしい」
「何?どういうことだ?」
俺は驚いて聞いた。
「ああ、桜ちゃんの話だとその鴨下とかいう男はかなり、ヤバイ男で桜ちゃんはそいつに何かされるんじゃないかといつも不安だったらしい。それで両親を事故死に見せかけて殺した後、伯父さんの家に引っ越してそいつと会うことはなくなったんだが、どうしてもそいつが襲ってくるんじゃないかって不安が消えなくて、そいつを苦しめてやるいい方法はないかって思ってそいつの両親を始末することにしたらしい。そいつの両親は山登りが好きで五頭山によく行っていたらしいから五頭山で2人に会って睡眠薬入りのお茶を飲ませてから殺して硫酸で溶かしたらしい。死体が見つからなかったから山で遭難して行方不明になったってことで決着したらしい。だけど、鴨下は両親が死んだと知らされても別に動揺することなく平然としてたらしくて中学の時の担任だった確か小野沢とかいう教師からそれを聞いて桜ちゃんは驚いてた。」
「そうか、その鴨下君って少年の両親も桜に殺されていたのか」
俺は他人のふりをしながら答えた。俺は両親も桜に殺されていたと聞いて驚いたが、別に悲しくもないし、そのことで桜に怒りも感じなかった。俺は両親から毎日のように苦しめられてきた。俺は両親に憎しみしかない。そんな人間が死んだからってどうだってんだ。
「ああ、そうだ。鴨下の両親も桜ちゃんが殺した。桜ちゃんは鴨下の両親を始末した時の話を得意げに話してたけど、その時、五頭山にたくさんの鳥たちが住んでいて自然が豊かないい場所だと思ってここに住めたらいいなって思って五頭山に家を建てたんだ。桜ちゃんは高校は通信制に通ってる。時間が持てていいらしい。だから、家にこもってても何とかなってるんだ。」
「なるほどな。桜は通信制の高校に通ってたのか、どうりで街中で見かけなかったわけだ。」
俺はうなづきながら言った。俺たちは桜の年齢的に高校に通っている可能性が高いと思って新潟中の高校を見張って桜がいないか調べたんだが、見つからなかった。俺は桜が俺たちの攻撃におびえて休学しているのかと思ったんだが、そうか、俺と同じで通信制に通ってたのか、盲点だった。全日制の普通の高校だとばかり思ってたよ。まあ、通信制を選んだ理由は俺と桜で全く違うがな
俺がそんなことを考えていると、逢坂はこう言いだした。
「な、なあ、俺が知っていることはこれで全部話した。お願いだ。見逃してくれ、桜ちゃんには俺があんたに話したことは黙っておくからさ」
逢坂は哀れっぽく言った。
「いや、ダメだ。お前を生かしておいたら色々と都合が悪い。死んでもらうぞ」
俺はワルサーPPK/Sの引き金を引こうとした。
「うわああ、や、やめてくれ、まだ話してないことがあった。それを教えるから」
「何だそれは?」
俺は気になって聞いた。
「さ、桜ちゃんがここに1千万ほどしまってあるんだ。この部屋から少し離れた物置の中にある。本当だ。カギはそこの戸棚の中に隠してある。それをやるから見逃してくれ」
「なるほどな。金があるのか、もちろん、いただくぜ、だが、お前は死ね」
俺は逢坂にワルサーPPK/Sから弾丸を撃ち込んだ。
逢坂は4発の弾丸を受け、悶絶しながら絶命した。
俺は逢坂が言っていた戸棚を探り金がしまってあるに違いないロッカーのカギを見つけ、沙織に物置はどこか聞き、物置に入った。
物置には桜がイベントで使ったらしい小道具類や図鑑などが山積みになっていて壁際に大型のロッカーがあり、俺はロッカーを開いた。
ロッカーの中には1千万が入っていたが、それだけではなく、アサルトライフルが5丁、ショットガンが1丁、大型の拳銃が1丁入っていた。
ショットガンはロシア製のイズマッシュサイガ、拳銃は中国製のドイツ製モーゼルC96をコピーした1号式で俺はどちらも回収する気にはなれなかった。
アサルトライフルもイギリス製AL85、ロシア製AK74、中国製95式、韓国製K1と俺が回収する気になれない銃だったが、最後の1丁のアサルトライフルは違った。
「ヘッケラー&コッホG3」
俺はその銃を手に言った。
その銃はドイツ製ヘッケラー&コッホG3だった。この銃はドイツのヘッケラー&コッホが完成させた高性能なアサルトライフルで俺も1度、手に入れたいと思っていた。俺はこのライフルをいただくことにし、物置にあったナップザックに現金と308ウインチェスター弾を詰め、ライフルは弓道の弓を入れるケースに入れ、ほかの銃はすべて使用不能にした。
俺はそのあと、逢坂たちがいた部屋に戻った。
俺は逢坂たちが持っていた拳銃と財布の金、全部で120万ほどあったを回収した。
逢坂たちは全員、拳銃を持ってはいたが、ほとんど、中国製や韓国製で俺は回収する気になれなかった。ちなみに逢坂はイギリス製スピットファイアーマークⅡを持っていた。俺はこれも回収する気になれなかったがな
しかし、1人が持っていた銃は違った。
「S&WM5906か」
俺はその銃を手に言った。
その拳銃はアメリカのS&W社が開発したセミオートマチック式の拳銃、S&Wと言えばリボルバー型の拳銃が有名だが、セミオート式も製造していてこのM5906はその1つだ。ダブルカラムマガジンを使用する拳銃で15発を装填できる。ワルサーPPK/SやシグザウエルP232より、撃ち合いに向いているから俺はこれもいただくことにした。
俺がM5906を腰に差すと床で縛られたままの沙織が話しかけてきた。
「中村さん、もう縄を解いてくれていいですよね?逢坂たちは始末しましたし、お金もいただいたんですから、ここに用はないですよね。さっさと逃げましょう。」
沙織は媚びるように言った。
「ああ、そうだな。お前にはまだ、やってもらうことがある。ついてこい」
俺はナイフを取り出して沙織の縄を解いてやった。
「ふう、ありがとうございます。」
沙織は起き上がると脱がされて膝まで下ろされた下着を戻した。
「うう、まだ、痛い。中村さん、本気で叩かないでくださいよ。逢坂を吐かせるためとはいえ」
沙織は臀部を押さえながら言った。
「仕方ないだろ?俺とお前は敵同士だったんだ。」
「うう、そうですね。あの、私の財布と携帯は持ってます?着替えてきますね。さすがにパンツ1つは恥ずかしいんで」
沙織は胸を押さえながら言った。
「ああ、お前のは俺が持ってる。安心しろ、とりあえず服を着てこいよ」
「はい」
沙織が部屋を出ようとしたとき、外で何人もの人間が歩いてくるのが分かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます